ビットコインとは、 インターネット上で流通している仮想通貨のことを指しますが、日本では日常的な決済用途として普及していません。とはいっても、投機目的でビットコインを持つ方が少なからずいることも事実であり、ビジネスの決済システムの開発に大手企業が乗り出すなど、ビジネスにおける重要性は今後高まっていく可能性があります。現状の法律に則った税務処理をプロが解説してくださいます。
世の中で徐々に認知されるビットコイン
ビットコインと現金の交換所運営会社であるMt.Gox(マウントゴックス)社のCEO逮捕報道は、皆様の記憶に新しいことかと思います。
ビットコインとは、 インターネット上で流通している仮想通貨のことを指しますが、日本では日常的な決済用途として普及しておらず、逮捕報道を対岸の火事だと考えている方が多いのも現実です。
確かに使用されている“公開鍵暗号方式”等はとても複雑でありCtoC取引にはマッチしないようです。
とはいっても、投機目的でビットコインを持つ方が少なからずいることも事実であり、ホリエモンこと元ライブドア代表取締役の堀江貴文さんのように仮想通貨の積極推進者が多いことも事実です。
事実、IBMや楽天といった企業はビジネスモデルにビットコインを導入し始めていますし、金融機関でも英バークレイズのような大手がビットコインの決済システムを構築中です。
将来的にはビットコインがビジネスの決済面で、主要な地位を得る可能性が十分にあり得ます。
そこで今回は、まだニッチなテーマではありますが、ビットコインの税務会計についてザックリと解説していきます。
ビットコインは円のような“通貨”ではない
まず大前提として、ビットコインは税務会計上は“通貨”ではありません。
金などと同様に、「価値が変動するがお金ではないもの」と考えると良いでしょう。
当然、売れば消費税も課税されます。
ビットコインを支払手段として使用した場合には、物々交換をしたのと同じ取り扱いをすることになります。
また、ビットコインはSuicaなどの電子マネーとも異なります。
詳細は難解ですので省略しますが、ビットコインには発行者が存在しないため債権・債務関係が存在しないからです。
法律がまったく追いついていない状況
日本の法律がビットコインに対応しているかといえば、現状は全く整備が追いついていない状況です。
2015.8.5に東京地裁が「ビットコインは所有権の客体とはならない。」との判決を下したことについても、様々な議論がなされているところです。
会計税務の世界でも同様にはっきりとした取り扱いは明示されていません。
しかし、原理原則から考えて合理的な取り扱いを推測することはできます。
以下、取り扱いを記載しますが、あくまでも推測ですので最終的な判断は自己責任でお願いします。
1)所得税
- 営利目的の継続的な取引の場合:事業所得又は雑所得
- 投機目的の場合:譲渡所得
2)法人税
基本的には会計処理による。ただし、「短期売買商品」に該当する場合には、時価法による評価が必要。
3)消費税
ビットコインの譲渡は課税の対象となる。また、たとえ非居住者に譲渡した場合にも、免税取引とする根拠は現状の消費税法にはない。
未開発分野の利益は保守的な確定申告を
ビットコインについて法律が追いついていないとは言っても、確定申告期限は否応無しにやってきます。
このような状況でビットコインによる利益を得た場合は、合法的・合理的な中で安全な申告をしておくことが肝要です。
そのためにも、仮想通貨についてある程度基礎知識がある税理士と顧問契約することが重要だといえるでしょう。