平成31年10月1日から全ての取引が消費税率10%になるわけではない
平成31年10月1日から適用される消費税率10%への引上げの指定日(平成31年3月31日)まで、いよいよ1年を切りました。
税率8%に引き上げた平成26年の場合と同様に、指定日の前日までに契約を締結しているなど一定の取引については、現在と同じ8%の税率を適用する経過措置が設けられています。
今回はその経過措置についてご紹介します。
指定日が関係して8%の経過措置を取る8つの取引
次の取引のうち、平成31年3月31日までに契約を締結した場合、平成31年10月1日以後に資産の譲渡等があった場合においても、8%の税率が適用されます。
- 1)請負工事等
- 2)資産の貸付け
- 3)予約販売による書籍等の販売
- 4)通信販売
- 5)有料老人ホームで行う役務の提供
また、上記の経過措置に加え、次の3つの取引についても経過措置が取られます。
6)電気料金等
平成31年9月30日以前から継続的に供給している電気、ガス等に係る料金等で、平成31年10月1日~31日までの間に料金の支払を受ける権利が確定するものには、8%の税率が適用されます。
7)家電リサイクル料金
リサイクル料金を平成31年9月30日までに領収している場合で、リサイクルを平成31年10月1日以後に行うときは、8%の消費税率が適用されます。
8)一部の長期割賦販売等
なお、平成30年度税制改正により、長期割賦販売等に係る延払基準は廃止されます。
ただし、平成30年3月31日までに長期割賦販売等に該当する資産の譲渡等を行った事業者は、5年間は現行制度を適用することができます。
その場合、平成31年10月1日以後の賦払金の支払にかかる消費税率は8%となります。
軽減税率も導入されることから消費税の計算はますます複雑化する
今回の消費税率10%引上げ時には経過措置のほか、軽減税率の導入も予定されているため、消費税の計算は今後もますます複雑化していくことが予想されます。
消費税率の引上げは、経理処理だけの問題に留まらない大きな変化です。早めの対策を行うことで、会社全体の混乱を少しでも防ぎましょう。