日本では古くから創業時の資金調達過程で、資本政策や安定株主化などの目的で株式の相互持合いが広く行われてきました。
また、株を他社に買い取ってもらうことで、資本注入してもらう場面も少なくありません。
考えうるリスクと対応策を提示します。
あなたの会社の株を保有している他社が倒産
バブル崩壊以後の株価低迷や銀行株式保有制限法制定の影響で急速に持ち合い解消が進んでいますが、未だ多くの会社で行われているのが現状です。
また、創業時の資金調達過程で、株を他社に買い取ってもらうことで、資本注入してもらう場面も少なくありません。
もしあなたの会社の株を保有している相手(会社)が倒産してしまった場合、その株はどうなってしまうのでしょうか?
更生手続きならまだしも破産手続きに入ると厄介
更生手続きであれば、資本関係をそのまま維持して更正の手助けをすることもできますし、資本関係の解消を前提に、株式の取り扱いをどうするか話し合うこともできます。
一方、破産手続きの場合にはそうはいきません。破産管財人が会社資産の全てを管理することになり、外部の人間が手出しすることは不可能です。
なぜなら管財人には、会社資産をお金に換え、優先順位の高い負債から清算したうえ、もし残ったお金があれば、最終的に株主で分け合って手続きを全て終える役割があるからです。
厄介な第三者に株を買われる前に自社で株を買い取れ
そうなると、倒産した会社にとって、自社の株式は立派な資産ですので、換価=売却されてしまうことになります。
もし、自社が上場しているのであれば、市場で売却する選択肢が第一にあがりますが、割合が大きいと市場価格に悪影響を与える恐れがありますので、一部ずつ売却していくか、市場価格を参考に相対取引で購入者を探すことになるでしょう。
非上場の場合、市場で売ることができないため買い取ってくれる先を探さなければなりませんが、市場で売買できない株式となればそう簡単には見つかりません。
買取金額はその時点での株価を算定する必要があります。
外部の第三者に株を保有してもらう場合は、その第三者の環境変化が自社経営に大きな影響を及ぼします。ぜひ注意してください。