グローバルな事業展開にチャレンジしようとすると、国内事業に比して投資回収までの期間が長期に渡り、投資回収までの元本返済や利払いが大きな負担となるケースがあります。そこでお勧めしたいのが、海外展開時の元本返済・金利負担を軽減すべく、商工中金が提供しているグローバルニッチトップ支援貸付です。詳細を解説いたします。
海外進出は投資回収までの期間が長くリスクも大きい
成功するか否かは未知数でも飛び込まねばならないのが海外市場。
多くの経営者の方はそう思っていらっしゃることでしょう。
しかし、グローバルな事業展開にチャレンジしようとすると、国内事業に比して投資回収までの期間が長期に渡り、事業リスクも大きくなりやすいものです。
融資を受ける企業にとっては、投資回収までの元本返済や利払いが大きな負担となるケースがあります。
そこで本稿は、海外展開時の元本返済・金利負担を軽減すべく、商工中金が提供しているグローバルニッチトップ支援貸付をご紹介します。
海外展開時は「グローバルニッチトップ支援貸付」を活用せよ
グローバルニッチトップ支援貸付とは、自社製品・サービスのグローバルシェア拡大を目指し、海外拠点の設立又は拡大並びに海外向け販路拡大等を行う事業計画を持つ企業を対象にした資金貸付制度です。
参考URL:商工中金:国の施策と連携した融資制度
- 長期(期間:原則10年)貸付期間中の返済負担を軽減した一括返済
- 事業成果に応じた柔軟な利息負担とする成功利払い
という条件によって貸付を行うことができるため、「投資回収に時間がかかりやすい」事業の特性と資金調達のミスマッチを解消できます。
名前に「ニッチトップ」という言葉がある通り、
- 今後3年間の海外事業計画が作成され、かつ、直近の事業年度における海外向け売上高比率が10%以上であり、当該海外事業計画期間中の海外向け売上高が5%以上増加していること。
- 今後3年間の海外事業計画が作成され、当該海外事業計画期間中の海外向け売上高比率が5ポイント以上増加していること。(商工中金が認めた場合は、5年間で達成する海外事業計画の作成も可)
または、
- 自社製品・サービスについて、日本国内において一定のシェアを確保していること又は高い技術力・商品力を有している
- 日本国内において事業活動拠点(本社)が存続する
という条件を満たしていると商工中金が判断した企業が、貸付の対象となることができます。
グローバルニッチトップ支援貸付の資金用途と貸付条件
次に資金をどんな用途で使えるか?利率などの条件は?ということについても見ていきましょう。
資金はどんな用途に使えるの?
資金は以下、4つの用途で活用することが可能です。
- (1)海外現地法人に対する出資金
- (2)海外現地法人の事業運営に必要な設備の新増設、更新、改良、補修及び無形固定資産の取得等のための設備資金又は海外現地法人の事業運営に必要な運転資金の転貸(親子ローン)
- (3)自社製品の海外販売を増加させるための設備資金
- (4)自社製品の海外販売を増加させるための研究開発費
特筆すべきメリットは、(2)海外現地法人の事業運営に必要な運転資金の転貸(親子ローン)が可能な点です。
貸付の条件(利率)は?
貸付条件は以下のようになっています。
貸出形式 | 証書貸付 |
限度額 | 5億円 |
償還方法 | 期限一時返済 |
利率 | 成功の場合は所定の利率、不成功の場合0.6% |
貸付期間 | 原則10年 |
もし、失敗した時でも年利0.6%というのは非常に大きいですよね。
海外進出を目指していて、自社に条件が当てはまりそうな企業なら、資金調達の1手段として検討してみるのは如何でしょうか?