紹介料を現金で要求されたが果たして我が社はどう対応すべきか

節税

 販売先などを紹介してもらい成約した際に、一定の紹介料を紹介してくれた人に支払うことは、よくある話です。この際に、紹介料を現金で手渡すことを依頼されたら、どんなリスクを想定する必要があるのでしょうか?また、支払った紹介料はどの項目で経費処理されるのでしょうか?詳しく解説いたします。

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帳簿にのらない現金でバックマージンの支払ってありなの?!

 駆け出し経営者のAさんは、知り合いのBさんから販売先を紹介してもらい、晴れて大きな売上を立てることに成功しました。

 喜んだAさんは、Bさんにお礼として心ばかりのバックマージンを渡そうと思ったのですが、「現金で渡してくれないか?」とBさんに頼まれました。

 Aさんは助かったこともあり、現金を手渡すことにしようとしています。

 しかし、現金でバックマージンを手渡すのって…何か得体の知れない芳しい香りがしますよね。

 実際、これって何かマズい事態にはならないのでしょうか?

 また、この際に支払った費用は帳簿上どのように処理することになるでしょうか?

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まず「本当に現金でないとダメなのか」を考える

 現金で渡す際に処理をどうするかを考える前に、まず気をつけなくてはいけない点は、「証拠としての力が弱くなること」です。

 これが振り込みであれば、「A社からBさんへお金が動いた」というのが、銀行を通してはっきりと証明されることになります。

 しかし、現金の場合、「Bさんに渡したと言っているけど、本当は自分のポケットに入れたんじゃないの?」と、税務署からあらぬ疑いをかけられる可能性を残してしまう、というのは大きなリスクです。

 相手から、「現金で」と要求されたとしても、そのリスクを会社が負える相手かどうか、よく考えたうえで応じることにしましょう。

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次は「税務調査で相手の名前を出せるか?」を考える

 今回は、上記の「自分のポケットに入れた」と疑われるリスクを踏まえたうえで、現金で渡すことにしたとしましょう。

 次の大きなリスクは、「もし税務調査があった場合に、渡した相手の名前を出せるかどうか」です。

 相手の名前を出せる場合は問題ありませんので、次の項目へ行きましょう。

 ただ、出せない場合、これも大きなリスクを会社が抱えてしまうことになります。

 以下、リスクを紹介します。

リスク1:使途秘匿金になる可能性

 最も大きなリスクは「使途秘匿金(しとひとくきん)」だと指摘されてしまうことです。

 この使途秘匿金、実におそろしいもので、認定されると、

  • ・払った金額の全額が損金に算入されない
  • ・さらに払った金額の40%が税金として課される

 という罰則が待っています。

 つまり100万円の、相手の名前を出せないお金があった場合、

  • ・100万円×約30%の税金=30万円
  • ・罰金としての100万円×40%の税金=40万円

 と、実際に支払った100万円のほか、合計約70万円もの税金が追加でかかることになります。(かなり概算ですのでご了承ください)

 なので「絶対に名前を出さないから」などの約束は安易にしないよう、くれぐれも気をつけましょう。

リスク2:役員賞与になる可能性

 とはいえ、使途秘匿金はさすがに重すぎるので、それほど簡単に認定されることはありません。

 この場合、「役員賞与」になる可能性が高いです。

 役員賞与になった場合には、

  • ・払った金額の全額が損金に算入されない
  • ・加えて社長に所得税が追加でかかる

 といったペナルティがあり、こちらもなかなか重いので気をつけましょう。

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紹介料を払った場合の原則的な支払項目は?

 さて、ここでようやく本題の、名前を出せる相手に紹介料を支払った場合ですが、原則は「交際費」として処理することになります。

 ちなみに、この処理は現金でも振込で同じです。

 紹介というのは「紹介料」「情報提供料」「販売手数料」「支払手数料」など、いくつかの勘定科目が考えられますが、会社がどういう処理をしたかに関係なく、税金計算上「交際費」として扱うことになります。

 「情報提供料」として、一定の条件を満たせば「交際費」以外の扱いにすることもできます。

 ただ、正直言って現在は、中小企業であれば800万円まで全額経費にすることが認められているため、多額の交際費を使う会社以外は、それほど気にすることはないでしょう。

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