海外から商品を輸入するにあたって、販促のために無償サンプルを一定数量もらうことがあります。また、輸入した商品に瑕疵があった場合、相手先から代品を無償提供してもらうこともあります。これら無償で手に入れた外国貨物に消費税の支払義務は発生するのでしょうか?消費税、並びに輸入関税の観点から解説いたします。
無償提供の輸入品は原価がゼロだから消費税もゼロ?
海外から商品を輸入するにあたって、販促のために無償サンプルを一定数量もらうことがあります。
また、届いた商品に輸送上の傷みが生じていたり、何らかの瑕疵が見つかった場合、相手先から代品を無償提供してもらうことがあります。
本来、外国貨物、いわゆる輸入品には、原則として消費税がかかります。
では、上記のケースのように無償で海外から商品を輸入する際も、本来の商品価格をもとに消費税を支払わねばならないのでしょうか?
輸入品の消費税に免税の例外措置は存在しない
この問題について考える際は、まず消費税の課税対象に該当するものについて、原則を振り返る必要があります。
消費税の課税対象となるものは、
- 国内において
- 事業として
- 対価を得て行う
- 資産の譲渡、貸付及び役務の提供
が行われるものです。
輸入品(外国貨物)は保税地域を通過して国内で取引される商品として、原則的に課税の対象となります。
国税庁はこの点、
輸入品を引き取る者が消費税の納税義務を負います。したがって、免税事業者はもとより、個人事業者でない給与所得者や主婦であっても、輸入品を引き取るときには納税義務者となります。
輸入品を保税地域から引き取ろうとする者は、原則として、品名、数量、金額等と消費税額などを記載した申告書を保税地域を所轄する税関長に提出し、引き取るときまでに消費税を納付しなければなりません。ただし、税関長に納期限の延長についての申請書を提出し、担保を提供すれば、担保の額の範囲内の消費税額について、最長3か月間の納期限の延長が認められます。
と記述するのみで、輸入品については、納付期限の延長特例は認めるものの、支払の免除特例は設定していません。
無償の輸入品は消費税をどう算定するべき?
この点、関税定率法第4条も、無償で輸入された代替品であっても、課税価格を決定し、輸入申告を行う必要があることを定めています。
消費税の課税される商品価格は、
- 輸入貨物の生産国における同一物の価格
- 輸入貨物の生産国における相当品や類似品の価格
によって判定されることになります。
これでも商品価格が判定されない場合は、以下の方式により価格判定を行います。
逆算方式
国内再販売価格から、国内販売にかかわる諸費用を控除して課税価格を決める方法
積算方式
輸入貨物の製造原価に、同類の貨物の我が国への輸出販売にかかわる通常の利潤、一般経費、輸入港までの運賃等を加算して課税価格を決定する方法
いずれにせよ、無償で海外から商品を仕入れたとしても、必ず消費税がかかるという原則を忘れないようにしましょう。