ビル・ゲイツ個人に講演料を支払うとしたら源泉徴収を取る必要はあるか?

節税

 ビル・ゲイツ個人とプライベートで仲良くなったよしみで、日本に来日してもらい、講演会に来てもらったとします。タダでは申し訳ないということで、講演料を支払うことにしました。ただし、ビル・ゲイツは日本国内在住者ではないため、通常の源泉徴収を行う必要があるか迷うところです。原則論と例外論でどう対応すればよいかご説明します。

スポンサーリンク

ビル・ゲイツ個人に講演会へ来てもらった!講演料は源泉徴収が必要?

 アメリカから、あのビル・ゲイツ(以下、ビル)が偶然、プライベートのお忍びで日本にやってきました。

 自由な空気を吸いたかったのか、ふらりと上野の居酒屋に入って飲み始めると、偶然隣の席にいた町工場のタコ社長に話しかけられます。

 タコ社長の笑顔と懐っこさもあってか、ビルとタコ社長はすっかり意気投合します。

 ビルがどんな人かは全然知らないけれど、気が合うし、周りの酔っ払いも「あんた、ビルを知らないのかい!」と言うもので、社長も酔っ払った勢いで啖呵を切り、「そんなに凄いなら、うちの工場の従業員に教えてやってくれ!」と講演会を開くことになりました。

 ビルもよっぽど気分が良かったのか、「会社を通すとめんどいけれど、個人ならオッケーよ」と、気さくに応じてくれました。

 いざ、ビルが約束を果たすために、再来日し工場に来てくれることになった頃には、社長もネットなどを通じてビルが凄い人だと知り、恐縮し始めます。

 「流石にこりゃまずい。世界のビルだぜ。2時間で1万円くらいは支払わねぇとマズイぞ。」と。

 ビルは何度も断りますが、そこは江戸っ子社長。是が非でも引きません。ビルも折れて、講演料をいただくことになりました。

 ところがタコ社長、そのことを経理のおばちゃんに話したところ、「社長、源泉徴収はどうすんですか?」と言われます。

 日本国内在住者(日本政府に所得税を支払う人)に講演料を支払う場合、講演料から源泉徴収を一律で10.21%、100万円を超える部分については20.42%徴収することになります。

 ただし、ビル・ゲイツはアメリカで所得税を支払う人です。アメリカで所得税を支払う人から、源泉徴収を取るか取らないかが経理の人間にとって引っかかったのです。

 どうすれば良いのでしょうか?

スポンサーリンク

ビル・ゲイツに個人として支払う講演料は源泉徴収する義務があるか?

原則論:海外の人であっても源泉徴収は必須

 まず、原則論からお話すると、海外から来る講演者であっても源泉徴収は必須の作業となります。

 この場合、源泉徴収額は、講演料の多い・少ない、法人・個人の区分に関係なく、一律で20.42%徴収することになります。

 従って、講演料が2,000万円である場合、講演料から400万円強を主催者側が源泉徴収して、税務署に支払う必要が生じます。

例外論:租税条約がある場合は免税措置も可能

 ただし、日本政府が特定の外国政府と租税条約を締結している場合、所得税が免除される場合があります。

 講演者の来る国と日本が租税条約を締結しているか否かは、以下のページから確認できます。

 参考URL:我が国の租税条約ネットワーク:財務省

 ちなみに、ビル・ゲイツの住むアメリカと日本は租税条約を交わしており、アメリカ在住者が日本で所得を得る場合に、一定の手続きを踏むことで所得税の免税を受けることが可能になります。

 個人に支払う場合、原則としては20.42%の源泉徴収を納めなければなりませんが、本人の居住者証明書などの書類と共に、租税条約に関する届出を提出することで、講演料について免税措置を受けることが可能です。

スポンサーリンク

免税措置の手続きは面倒。前持った準備を!

 なお、講演までの日程が短くて、免税措置を受けるための諸手続きが踏めなかった場合はどうなるのでしょうか?

 居住者証明書は国によっては、申請してから取得できるまでに一ヶ月ほどかかることもあるからです。

 この場合は、一旦源泉徴収を提出することになりますが、その後に租税条約に関する届出を提出し、還付請求を行うことが可能になります。

 最後になりますが、租税条約に関する届出の作成には、本人の実筆サインも必要ですから色々と面倒です。

 講演会を開いて海外の方に講演料を支払う際には、前持った準備が必要となることを覚えておくと良いでしょう。

 タコ社長がビルのために免税手続きを取ったか?そこはフィクションなので、皆さんのご想像におまかせします。

Photo credit: TheAlieness GiselaGiardino²³ via Visual Hunt / CC BY-SA

節税
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。

起業、経営を応援するWEBマガジン編集部です。

編集部をフォローする
節約社長