和民の株主優待券は投資価値の半分以下が現状

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 ワタミの業績悪化が止まらない。2015年3月通期の連結最終損益で、赤字幅が拡大していることに加えて、新業態へのシフトが進まず、足元の業績も振るわない状態が続いているからだ。株主引き止めにあたり苦肉の策として、優待券と自社商品の交換制度が創設されたが、割高感が否めない。現時点では投資対象としての魅力は少ないと言える。

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ワタミの業績は悪化の一途を辿っている

 手ごろな居酒屋として、会社でお世話になっている人も多いかもしれない「ワタミ」。

 先月発表されたワタミ2015年3月期通期の連結最終損益は、70億円の赤字見通しとなっている。

 赤字の原因は、基幹事業の外食事業での店舗閉鎖、収益低下店舗を1つの原因としているが、介護事業や固定費削減などすべての事業や施策において物事がうまく進んでいないようだ。

 ワタミはこれを受けて、株主への期末配当金をゼロ、無配当とすることを決定した。赤字決算だけではなく、前期に続き赤字が拡大したことを理由としている。

 3月9日(月)に発表した2月度の国内外食店舗の全店前期比実績も、売上高86.4%、客数85.4%、客単価101.2%と一向に振るわない。

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苦し紛れに出した優待制度は割高すぎる

 2014年は、大幅な円安や消費者の嗜好変化など激しい環境の変化がマーケットに起こり、企業の業績も大きく明暗が分かれ、株価も大きく変動した一年だった。

 特に小売業界は、原材料価格の高騰により、数々の食品で値上げラッシュが行われた。

 外食産業を基幹としているワタミは上場来初の赤字を計上、厳しい業績報告を行ったが、ここで注目すべきは株主引き止めに向けて2014年9月にワタミが行った「ワタミファーム産直品」のお届け、という優待制度の新設・拡充だ。

 新たな優待制度は、「和民」などの居酒屋で使える優待券4000円分で、「米5kg、トマトジュース1L×2本など4種類から商品を選んで引き換えることができる。」というものだ。近くに店舗がない人や物品を希望する人にとっては魅力的かもしれない。また、こだわって作られた高価な商品かもしれない。

 しかし、いくらなんでも米5kgで4000円の優待券を交換する価値は感じない。

 実際に、ヤフーオークションでワタミの株主優待券は、額面の半分程度という相場で取引が行われている。金券ショップに至っては1枚500円の優待券買取価格の相場が100円、購入も1枚150円程度で可能となっている。

 他の飲食関連銘柄と比較しても換金レートが低い株主優待券となっており、利用する魅力が少ないという市場評価が、金券市場でもくだされていることが暗に示されている。

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見た目の利回りに惑わされるべからず

 ワタミの3月9日(月)の株価は1205円で取引を終えている。(取得には約12万円が必要)配当利回りは、現在0%だ。優待最低単元は100株、100株持っていると6000円分の株主優待券が手に入るため、優待分も含めた利回りは、5%程度になる。

 銀行の普通預金、定期預金を考えると十分高い数値ではあるが、先ほど提示したように金券市場でその価値は半分以下〜3分の1程度である。

 キャピタルゲインを得るにせよ、抜本的で画期的なヒット事業や業態を作らない限り、株価の上昇は当面見込めない。ワタミは、投資先として考えるには、当分の間、対象外とした方が良いと思われる銘柄だ。

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