年収1,500万なら個人事業と法人成り後の手取り額が多いのは?

節税

 年収1,500万のウェブデザイナーKさんがいたとします。彼が手取り額を多くするためには、個人事業主のままが良いのか?法人成りしたほうが良いのか?基礎条件を共通にした上でシュミレーションしてみましょう。数字以外に考慮すべきことについても、触れていきながら解説します。

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年収1500万なら個人事業主と法人どちらが得?

 ウェブデザイナーのKさんという方がいらっしゃるとします。

 主戦場はインターネットの仮想世界で、必殺武器はマックブックプロであるため、コンスタントに支払う経費は、家賃と光熱費くらいです。

 もしKさんに毎年1,500万程度の年商がある場合、個人事業主と法人(会社)だと、手取りはどのように変わるでしょうか?

 前提として、

  • 30歳前後の独身
  • 従業員は無し
  • 費用は月に事務所家賃10万円
  • 光熱費2万円
  • 交通費1万円

 とします。

 以上の条件を元に、個人事業主と法人成り後、Kさんの手取り額がどう変わるかを、シュミレーションしてみましょう。

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個人事業主と法人成りの手取り額を比較しよう

1)Kさんが個人事業主のままである場合

 まず、主な費用の合計は10万円(家賃)+2万円(光熱費)+1万円(交通費)×12ヶ月=156万円(年額)となります。

 また、消費税は簡易課税制度を選択したとしておよそ年額55万円、個人事業の場合にはさらに個人事業税およそ48万円が経費として計上されます。

 従って個人事業の場合、年商1,500万円-156万円(主な支出費用)-55万円(消費税)-48万円(個人事業税)=1,241万円

 この数字が、まず利益として計算され、ここから税金(所得税、住民税)を払わなければなりません。

 税金を計算するには社会保険料(国民年金、国民健康保険)も考慮する必要がありますが、ここでは東京都の上限額を参考に約875,000円とします。

 そうすると、(※但し青色申告適用、控除は基礎控除のみ)

  • 所得税:約193万円
  • 住民税:約106万円

 という税額になります。

 これにより手取り額を計算すると、1,241万円(利益)-87.5万円(社会保険料)-193万円(所得税)-106万円(住民税)=8,545,000円

 上記の計算により、約855万円が手元に残る計算になります。

2)Kさんが法人成りした場合

 一方、Kさんが自分の事業を会社にした場合ですが、ここでは比較しやすいように、会社の利益を0円にするよう役員報酬を設定したとします。

 消費税(簡易課税)のところまでは個人事業と同じですので、1,500万円(収入)-156万円(支出費用)-55万円(消費税)=1,289万円(利益)となります。

 従って、約1,289万円を役員報酬として計上するようにします。※

 1,289万円を月額に直すと約1,075,000円となりますが、会社の場合には社会保険料も含めた上で、この金額にするという調整が必要になります。

 そうすると、

  • 役員報酬月額:97万円
  • 社会保険料月額:約105,000円(会社負担分・東京都)

 となります。

 この場合の役員報酬にかかる所得税と住民税は、基礎控除のみを考慮した場合、

  • 所得税:約116万円
  • 住民税:約79万円

 となります。

 これにより全体の手取り額を計算すると、1,289万円-(社会保険料105,000×12ヶ月)-116万円(所得税)-79万円(住民税)-7万円(均等割)=961万円です。

 但し、社会保険料は会社と個人で折半負担のため、個人負担分約125万円も差し引くと、およそ836万円が手元に残る計算となります。

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見た目の数字以外に考えなければならないこと

 このように両者の手取り額を比較すると、個人事業のほうが少しだけ多くなりました。

 これは社会保険料の金額が会社のほうが多くなるためと考えられます。

 ただし、この数字を以って個人事業が有利とはいえません。

 現況の中小企業の法人税率が低いことから、役員報酬の金額を下げて会社に利益を残せば、全体のキャッシュフローが少なくなることありますし、また会社での社会保険加入のほうが、手当てが厚いということも考慮する必要があります。

 資金繰りや、将来の方向性など、総合的なことを考慮しながら、個人事業主のままでいるのか?法人成りしたほうが良いのか?考える必要がありそうです。

備考:
※会社の利益を0円とした場合でも、地方税均等割が必ず課されます。ここでは最低額の7万円を前提とします。

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