法人実効税率がこの4月からいよいよ引き下げられましたが、7割以上が赤字を抱える中小企業の経営者にとって、法人税の引き下げはあまり歓迎されないものとなる可能性があります。なぜなら日本政府は、法人税の引き下げにより失う財源を、繰越欠損金の縮小によって穴埋めしようとしているからです。では私達はどうするべきなのか?プロが解説してくれます。
法人税は下がるけれど素直に喜べない理由とは
いよいよ今月から法人実効税率が、これまでの23.9%から23.4%へ引き下げられました。
しかしながら、これにより恩恵を受けるのは一部の大企業における話であって、中小企業の法人税は中小企業の特例で所得800万円までは、15%だったりします。(800万円を超えると大企業と同じ23.4%)
ですので、税理士のクライアントに多い中小企業では、報道にあるように「法人税が下がる⇒税金が減る⇒バンザーイ」と皆が言うわけではございません。
更には、法人税が下がっても、中小企業には更に喜べない理由があります。以下、その理由について解説します。
法人税の引き下げを補填する繰越欠損金の縮小
法人税が下がっても喜べない理由は、法人税の引き下げそのものに起因します。
政府は、法人実効税率が下がったことで減る税収を、繰越欠損金を縮小することにより、補填することを目指しているからです。
確かに現在、大小含めた法人全体の7割が赤字法人であります。
中には極端に利益を圧縮することで、本当は納税できる企業もあるなんてことも言われています。(いわゆる繰越欠損に依存する企業)
しかし、大半は本当に赤字の法人ではないでしょうか?赤字法人ですと、実際その会社の資金繰りもギリギリだったりします。
更に平成29年4月には消費税が10%になりますよね。今の8%でもヒヤヒヤしている法人もあるので、今から2年後が心配です。
消費税が払えなくて、倒産する会社は随分増えていますからね。
攻めこそ最大の防御となる時代がやって来た
中小企業にとっては、法人税などの減少の恩恵が受けられず、消費税が増税かつ繰越欠損金は縮小されてしますということで、よくよく考えますと泣きっ面に蜂ではないでしょうか?
しかし、安倍政権が続く限り、企業の自助努力による投資を促す姿勢は変わりません。
では、中小企業はどうやって、これらの事態を打開することができるでしょうか?
もしも現在、現状の維持を目指しているならば、今すぐに起業を成長させることを考え始めるしかありません。
赤字体質なのであれば、合法的に認められる範囲ならどんな手段であっても利用し、黒字体質の企業になるよう、行動し始める必要があります。
「攻めこそ最大の防御」とはよく言ったもので、これからの時代ほど、この言葉を体現しなければならない時代はないかもしれません。