日本において「早生まれ」の人とは、1月1日から4月1日までの間に誕生日がある人を指します。一般生活においては、早生まれが損か得かは、個々人で感じ方が変わるものです。ところが税金の世界では明確に、早生まれの人にとって損な仕組みがまかり通っています。早生まれの人が税制面や制度適用において、どんな損する仕組みがあるのか、今日は解説していきたいと思います。
早生まれとはいつからいつまでを指すの?
「そういえば◯◯って何月生まれだっけ?」
「僕は1月生まれだよ!」
「お〜、いいなぁ。じゃあ俺と同じ学年だけど、◯◯はまだ△△歳って言えるんだな(笑)」
年齢を重ねると、早生まれかそうではないかで、こんな会話をよくしますよね。
日本において「早生まれ」の人とは、1月1日から4月1日までの間に誕生日がある人を指します。
一般生活においては、早生まれが損か得かは、個々人で感じ方が変わるものです。
ところが税金の世界では明確に、早生まれの人にとって損な仕組みがまかり通っています。
どんな損する仕組みがあるのか、今日は解説していきたいと思います。
早生まれは所得控除の対象となるのが1年遅い
所得控除とは、所得税や住民税を計算する際に、所得から差し引くことができ、課税されない控除額を指します。
税負担の公平性を保つために、様々なシチュエーションに併せて日本では控除が認められています。
例えば、所得控除制度は、特定扶養親族や老人控除対象配偶者、老人扶養親族に該当する年齢になると、控除額が増える仕組みになっています。
しかし、この判定は12月31日で行われています。
したがって、早生まれの人は同級生がこれらの有利な所得控除を受けられることになっても、1年間待たされます。
これが早生まれの人に生じる、ひとつ目の代表的な税金面での損です。
特定扶養控除も早生まれの子に適用できない
それだけでなく、早生まれの子を持つ親は特定扶養控除で公平に扱われていません。
現時点で特定扶養控除は、高卒なら高校3年間、大卒なら高校大学の7年間の教育費負担の家計への配慮として、扶養控除額を増やしてくれる趣旨で設けられています。
しかし、この制度も控除対象扶養親族が、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人にしか適用されません。
1月から3月(正確には4月1日)の間に生まれた早生まれ組は、高卒なら高校2年生と3年生の2年間しか、大卒なら大学4年生になった年までの6年間しか特定扶養控除の適用がありません。
高校や大学を卒業して就職すると所得が生ずることになり、所得制限により扶養親族に該当しないことになるからです。
ちなみに、浪人して大学入学したり、大学院に進学したり、就職浪人したり、という場合には1年分の損は発生しません。
他にもこんなに!早生まれは損の波及効果
残念ですが所得税・住民税以外にも、早生まれの場合は以下の制度で、同学年の人より損をせざるを得ません。
- 国民健康保険料・国民年金保険料の減免制度
- 公営住宅の入居収入基準
- ホームヘルプサービス事業費用負担基準
- 母子家庭に支給される児童扶養手当の額を確定するに当たっての所得基準
などの判断にあたっては、12月31日までに生まれたか否かで、特定扶養親族該当・非該当が関わっています。
早生まれの損はこれまでずっと放置されてきた
これらは明らかに法の下の不平等です。
ただ、この課税上の不公平について、過去誰かが憲法違反といって争ったという形跡がありません。
しかし、1月から3月の早生まれ組は、単純計算で考えてみても日本全体の4分の1を占めていると考えてみれば、損をする人の絶対量としては大変多くなります。
この制度的欠陥が認知されてしまうと、運が悪いから我慢しろと言うことでは済まなくなり、世論も容易にこれを是認しなくなるように思われます。
国による自発的な制度改訂が望まれます。