本日上場!HIKAKINが最高顧問のUUUMはどれくらい儲かってる?

資産運用

 8月30日(水)、注目の会社UUUM(ウーム)が東証マザーズに上場します。UUUMは、HIKAKIN、はじめしゃちょー、木下ゆうか、その他多数の売れっ子ユーチューバー(クリエイター)を活用したプロモーションビジネスを手がける会社です。同社がどんな収益モデルでどれくらい利益を出しているのか見ていきましょう。

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HIKAKINが最高顧問を務めるUUUMが本日上場!

 8月30日(水)、UUUM(ウーム)が東証マザーズに上場します。

 市場からの資金調達額は11.2億円、想定時価総額は112億円とやや小型案件ですが、そのビジネスモデルゆえ注目が集まっています。

 UUUMは、HIKAKIN、はじめしゃちょー、木下ゆうか、その他多数の売れっ子ユーチューバー(クリエイター)を活用したプロモーションビジネスを手がける会社です。

 ただ、ユーチューバーのプロモーションビジネスで、同社がどれくらい売上を出しているのか、利益は果たして出ているのか、財務面は良いのか悪いのか、知らない方もいらっしゃることと思います。

 そこで本稿は、本日上場のUUUMについて数字を引き合いに、現在の収益・財務状況をご紹介しようと思います。

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UUUMって何をやって稼いでる会社なの?

 UUUMが現在収益源としている事業は、

  • クリエイターサポートサービス
  • ゲーム製作や自社チャンネルの運営

 この2つです。

 中でも収益の95%以上は、クリエイターサポートサービスと呼ばれる事業に依存しています。

 クリエイターサポートサービスとは、

  • ユーチューバーのチャンネルが再生される時に配信されるインストリーム広告によるアドセンス収益
  • 企業タイアップ動画をユーチューバーが制作し、チャンネル公開時に企業から得る広告収入(制作費)

 という2つの「広告収益」を作るため、企業から仕事を集めたり、ユーチューバー達のマネジメントを行う業務です。

 言葉を変えれば、ユーチューバー専門の芸能事務所というところでしょうか。

 ユーチューバー達には、動画を撮影・編集してもらうことに専念してもらい、企業との交渉ごとやプロモーションなど、面倒くさいことはUUUMが請負い、代わりに上記2つの広告収入から何割かをUUUMがフィ(20%前後と言われてるが非公開)として得ています。

 中でも大きな収入となるのが、企業タイアップ動画です。

 

 上記は、HIKAKINとタカラトミーのタイアップ動画。

 なぜ、UUUMに企業が喜んで広告のタイアップをお願いするのか?

 それは、UUUMに所属するユーチューバー達のメインチャンネル登録数ランキング(8月29日時点)を見れば理解いただけるでしょう。

NO 名前 チャンネル登録者数
1位 はじめしゃちょー 5,398,885人
2位 HikakinTV 5,012,284人
3位 木下ゆうか 3,339,714人
4位 Fischer’s-フィッシャーズ- 3,223,838人
5位 SeikinTV 3,223,838人

 ちなみに、このUUUM内の登録数ランキングは、日本のチャンネル登録数ランキングのトップ5でもあります。※

 UUUM所属タレントは、2017年8月時点でチャンネル登録者数ランキングで国内の1位から7位を独占。

 単純に1位〜5位のユーチューバーの登録者アカウントを総計しても、延べ2,000万アカウントを超えます。

 YouTubeの配信側は、今どんな年齢層の人が、その動画を何分見ているかを把握し、データ化することが可能です。

 これだけ詳細属性が把握できるアカウント数に対して、動画広告を流せる場所(媒体)はそうそうありません。

 配信後のデータを提出してもらうことで、企業側は数値に基づき更にマーケティングを掘り下げることが可能です。

 特に若年層をターゲットにしている企業にとってみれば、彼らのYouTubeチャンネルは絶好のPR媒体となるのです。

 UUUMにしても成果報酬型のアドセンス以上に、案件ごとの固定収入が入る企業タイアップ広告は、効率の良い実入りが見込めます。

 第四期第3四半期の広告比率を見ると、アドセンス広告は約16.8億円、タイアップ広告も約13.4億円となっており、いずれも昨対比で200%オーバー。

 YouTube動画広告の世界では無双状態と言えるでしょう。

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UUUMはどんな速度で成長してる?利益はどれくらい?

 ちなみに、UUUMは成長している?利益はどれくらい?財務状況は?という点について、数字を見てみましょう。

 東証への上場申請時に、同社が出している直近の数字推移は以下の通りです。※2(△はマイナス)

第一期(2014年5月) 第二期(2015年5月) 第三期(2016年5月) 第四期(2017年5月) 第五期(2018年5月:予想)
売上
(百万円)
165 1,319 3,300 6,983 8,979
経常利益
(百万円)
△18 △263 222 358 400
純利益
(百万円)
△19 △272 186 350 381

 着目すべきは、売上が鮮やかな成長曲線を描いて、倍々ゲームで増えていることです。

 5年で1.6億円から約90億円へ売上が増加する、これは驚異の数字です。

 また、利益については第三期目以降黒字化を果たしており、売上高経常利益率で見ると、黒字化以降は4〜7%(通常は3〜5%)と通常の企業平均と同等か少し良いくらいの率で稼いでいます。

 ちなみに売上高経常利益率とは、「企業がどれくらい効率よく稼いだか?」を示す指数です。

 とはいえ、第四期が6.7%に対して第五期の予想は5.7%と下落しています。

 ただしこれも、現在150名程度※3の会社規模に対して更に56名の採用を今年決定しており、認知拡大に向けたプロモーション費用の投下することゆえ。

 収益拡大に向けた投資を加速する姿勢の現れです。

 東証へ提出した資料を見ても収益予想は、登録者数の純増が続いている各ユーチューバーのチャンネル再生回数について、予想が保守的に見積もられています。

 前期決算の財務面を見ても、流動比率(流動資産/流動負債)は137%と高く、当座は十分な支払い能力を有してます。

 更に固定資産も少なく財務諸表は非常に軽量化された状態、一言で言えば非常に優秀です。

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UUUMの弱点はどんなところ?1にも2にも“HIKAKIN様”頼みからの脱却が必要

 では、UUUMの弱点についても考えてみましょう。

 UUUMの弱点は、最大の強み「スターユーチューバー」のコンディション次第で、業績が大きく変動するということです。

 たとえば、ユーチューバー達の配信する動画コンテンツの質が低くなれば、広告収入も時間を追い、これに比例して下落しやすくなります。

 稼ぎ頭でありUUUMの最高顧問であるHIKAKINの1日に密着した動画を見ると、彼が尋常ならざる過密スケジュールで働いてることがわかります。

 

 HIKAKINTvの動画は、「HIKAKINTv Everyday(ヒカキンのチャンネルは毎日更新してるよ)」というサウンドからはじまりますが、この言葉どおり、彼が毎日質の高い動画を配信し続けるからこそ、収益が上がり続けてるのです。

 もし、体調不良で彼のようなスターが動画配信を長期間休まねばならなくなれば、広告収入が著しく減少する可能性があります。

 更に今年の7月には、HIKAKINと双璧を成す所属ユーチューバーのはじめしゃちょーが、複数の女性と交際しているというスキャンダルが持ち上がりました。

 UUUMに属するユーチューバーは、例をあげれば、任天堂を始めとする大手企業とのタイアップにより、巨額の広告収入を得ています。

 もし、今回のようなスキャンダルにより、所属する人気ユーチューバーの著しいイメージ低下が起これば、イメージを大事にする大手企業が広告を出しにくくなり広告収入が減る、更に違約金が発生するおそれも発生します。

 ただし、現時点ではここでしっかり稼ぐ(稼いでもらう)ことができるため、得た利益(上場による吸収資金含め)で、どうやって弱点を消すかを考えれば良いレベルとなっています。

 上場から2〜3年でこの弱点を解消できるかが大きな分かれ道となりそうです。

 弱点を解消する策は2つ。

 1つ目の弱点解消策は、第2のHIKAKIN、第2のはじめしゃちょーを輩出し、動画広告の収入源を分散することです。

 UUUMは、これを実現するために、クリエイターのための学びの場所「UUUMアカデミー」を7月末に開校し、次世代ユーチューバーの発掘・育成に取り組んでいます。

 2つ目の弱点解消策は、動画広告以外の収入を作り出すことです。

 UUUMの事業は2つあることを冒頭でご紹介しました。ゲーム製作や自社チャンネルの運営です。

 中でもゲーム制作(スマホ)に、UUUMは力を入れており、ゲーム製作では「Yの冒険」「青鬼2」といったカジュアルゲームで少しずつ、収益を拡大しています。

 また、クリエイターに依存しない自社チャンネル(ボンボンTV)をDENAや講談社と協同開発しています。

 ただし、これら新たな収益源で得られている売上は、今期(第五期)で4.3億円程度※3と見込まれており、売上に占める割合は未だ5%未満です。

 事業としてゲーム制作をはじめて数年で、この規模に達していること自体物凄いことですが、人件費が年間5.4億円/年と前期比72.8%になることを踏まえれば※3、利益率の高い自社商品による売上割合を高めることが必須となります。

 これらのリスクヘッジが実現すれば、スターユーチューバー達の上場による知名度の更なる向上も見込めるため、同社は継続的かつ安定して、更なる収益拡大を図ることができそうです。

 それにしても、HIKAKIN、いや、HIKAKINさん、そして一緒に創業したメンバーは凄いことをやってのけたと思います。

 素直に尊敬します。


4位と5位にHIKAKINが持つ複数チャンネルの1つ、「HIKAKIN」チャンネルがあるが、登録重複をなるべく考慮から排除するため除外。

※2 新規上場申請のための有価証券報告書 (Ⅰの部) – JPX
http://www.uuum.co.jp/wp-content/uploads/2017/07/company_guidance_170727.pdf

※3 平成 30 年5月期の業績予想について UUUM 株式会社
http://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000002kqfz-att/08UUUM-1s.pdf

Photo credit: clasesdeperiodismo via Visualhunt.com / CC BY-SA

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