個人事業主として事業用不動産を売却しようとする時に、消費税は必ず発生するでしょうか?答えはNOです。個人事業主であっても、消費税の課税事業者か免税事業者でその判断は分かれます。個人事業主の事業用資産売却時は、不動産に限らずあらゆるものについて、自分の立場を踏まえ消費税発生の有無を判断しなければ、うっかり追徴課税を食らう可能性があり、注意が必要です。
個人事業主の事業用不動産売却時に消費税の納税義務は発生するか?
あなたが、個人事業主として飲食や小売の店舗を運営されているとします。
あなたは当該店舗を、事業用不動産として個人事業主名義で保有しています。
ある時点で商売が軌道に乗り、事業拡大が見込めるようになったので、他の場所に店舗を移動しようと思いました。
そこで、手狭になった現在の店舗について、売却先を見つけて販売しようとしています。
さて、この際に、個人事業主として事業用不動産を売却する際は、消費税が発生するでしょうか?
考えてみましょう。
消費税発生の有無は個人事業主が課税事業者か免税事業者かで変わる
結論から申し上げますと、あなたが消費税の課税事業者であれば、事業用不動産を売却すると消費税の納税義務が生じます。
しかし、あなたが消費税の納税義務者でなく免税事業者ならば、消費税納税の必要はありません。
原則、2期前の課税売上高が1,000万円以下の場合は、今期は免税事業者となり、1,000万円を超える場合は課税事業者となります。
消費税の課税事業者が事業用の資産を譲渡した場合は、事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡となりますので、消費税の納税義務が生じてきます。
逆に、消費税の課税事業者が生活用の資産を譲渡した場合、又は消費税の免税事業者や事業者でない者(商人でない者、イメージは一般的なサラリーマン)が資産を譲渡した場合は、消費税の納税義務はありません。
課税事業者なら事業用資産の売却時はあらゆるものに消費税が発生
消費税の課税対象となる取引は、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等ですので、事業用不動産以外にも、課税事業者か免税事業者かで、消費税の納税義務が発生するか否かは大きく変わります。
たとえば、課税事業者ならば、事業用不動産にかぎらず、事業に使用していた機械や車両にも消費税は課税されます。
これは、個人事業主の方がかなり忘れがちな部分です。
なお、消費税の課税事業者が生活用の資産を譲渡した場合に発行する領収書や事業者でない者(商人でない者、イメージとしては一般的なサラリーマン)が発行する領収書は、営業に関しない取引ですから、収入印紙を貼付する必要はありません。