国税局の発表によると、タイヤの中、床下、ソファー内、空き缶の中、知人宅の木箱や庭の地中など、様々な隠し場所から脱税によって得たお金が見つかっていることが分かります。なぜバレないと思っていた脱税が、必ずと言っても良いほど発覚してしまうのか?マルサの手口をご紹介します。
テレビ出演からタレコミまで…脱税が国税局にバレる理由は多岐に渡る
国税庁の発表によると、平成27年度に処理した査察事案(国税局査察部:いわゆるマルサが取り扱う事案)にかかる脱税額は総額で138億円、そのうち告発分は112億円で、告発事案のうち3億円以上のものは5件、5億円以上のものは1件あったことが判明しました。
脱税をする側は様々な手段で証拠を隠滅しようとしますが、一度査察部に目をつけられると、大抵の脱税はバレてしまいます。
「あの会社脱税しているのでは?」と目をつけられるきっかけは様々です。
テレビなどへの出演であったり、他の税務調査から足がついたり、前述の通り、内部告発やタレコミもあります。
実際、税務署には頻繁にタレコミの連絡が入ります。
大半は近所や知り合いの嫉妬や嫌がらせがほとんどですが、ごくまれに気になる情報もあり、それをきっかけに調べられることもあります。
バレないはずの脱税を摘発するマルサの手口
査察部の調査が始まると、親戚、友人、知り合い、関連会社、取引先、従業員といった私的・公的なつながりから、全ての預金口座、日頃の行動等々、あらゆる事柄が内定調査の対象となります。
直接乗り込む時には、事前に怪しい箇所はチェック済みですので、それら複数の場所に一斉に入ります。愛人宅に証拠を移していたとしてもバレてしまうのはこのためです。
儲かったお金を隠そうとしても、必ずどこかに跡が残ります。仮に、売上金を抜いて請求書や領収書を破棄したとします。
脱税した側が証拠を消したと思っても、
- 原価率から推計する
- 経費額・使用頻度から推計する
- 車の走行履歴から推計する
など、様々な手法を使ってあるべき売上額が見積もられます。
その推計額と計上額の差額が大きければ、売り上げを抜いているのではないか?という心証をマルサへ与えることになります。
こうなるともうお手上げです。
彼らは、
- 別口座に現金を移しているのではないか?
- 預金でなければ現金で持っているのではないか?
- 高級品の購入や飲食などで使い込んでいるのではないか?
など、あらゆる可能性を潰して脱税者を追い込んでいきます。
タンスの中も空き缶も知人宅の木箱も丸ハダカ
全国の税務署、国税局には長年にわたる税務調査、査察の経験で、膨大なノウハウが蓄積されています。
通常思いつくような脱税の手段は、間違いなく把握されていることでしょう。
実際、国税庁のHPでは「査察の概要」として毎年摘発された脱税の手口や不正資金の用途、現金等の隠し場所などが公表されています。
過年度分をざっと見ても、タイヤの中、床下、ソファー内、空き缶の中、知人宅の木箱や庭の地中など様々な隠し場所があり、全て見つかっていることが分かります。
悪質なケースになれば、実刑判決を受けるケースも生じています。
これらの事実に鑑みれば、脱税が如何に費用対効果の悪い行為か、読者の皆様なら容易に推察されることでしょう。