ジューンブライドは、この季節ならではの風物詩です。確かに愛しあう二人が夫婦になることは、非常にめでたいことなのですが、社内外の関係者に呼ばれ、毎週結婚式に参加するほどご祝儀がかさみます。ご祝儀は経費に参入することが可能なのでしょうか?参加する結婚式のパターン毎にどう処理したら良いのか解説いたします。
出費がバカにならない6月のジューンブライド
6月の結婚式、いわゆるジューンブライドは、この季節ならではの風物詩です。
結婚を司るギリシャ神話の神様「ユーノー」を祀る月が、”June”であることや、ヨーロッパでは6月に晴れた日が多いなど、様々な要因が重なって、ジューンブライドは世界中で定着しています。
日本では、ホテルオークラが1960年代にこれら海外の習慣に目を付けて、ジューンブライドを日本に定着させるきっかけを作りました。
とにもかくにも、結婚式が増えるこの季節、交友関係の広い経営者であれば、結婚式に御呼ばれすることも多く、「ご祝儀の出費も馬鹿にならない」とお思いの方もいらっしゃるのでは?
このご祝儀、会社名義で支払った場合には、どのように扱えば良いのでしょうか?
それぞれのパターンに合わせて、解説いたします。
ご祝儀は経費処理可能?3つのパターンで解説
1)従業員や役員など社内関係者へのご祝儀
参加する結婚式の主役が従業員や役員など社内の人間の場合、ご祝儀は福利厚生費として処理します。
会社によっては、就業規則や福利厚生規定で一律、あるいは職位ごとに支給額を決めているところも多いですが、規定がなく支給したとしても、この出費は経費として認められます。
但し、社会通念上の金額と比べてあまりにも高額だと、税務上は給与(賞与)として認定される恐れがあります。
その場合、従業員であれば源泉税の対象、役員であれば源泉税をとられた上、役員賞与として損金不参入となってしまいます。
2)取引先の方へのご祝儀
参加する結婚式の主役が取引先の方である場合、ご祝儀は交際費として経費処理します。
そのため税務上も、交際費としての判断になります。
中小企業(資本金1億円以下)であれば、基本的に年間800万円までの交際費が損金参入されますので、その範囲内であればご祝儀も全額損金となります。
大企業(資本金1億円超)であればご祝儀は全額損金不参入となります。
3)自分(経営者)の子供や親族への祝儀
自分の子供が結婚する際にご祝儀を支払った場合、これは会社の経費として落とせるのでしょうか?
このパターンでのご祝儀の経費処理には、幾つかの選択肢があります。
まず子供が自社の従業員等であれば、問題なく福利厚生費としての経費処理が行えます。
次に子供が自社とは無関係である場合、いくつかのパターンが考えられます。
・事業に直接関係性が無い支出として寄付金処理
会社は寄付金として経費処理しますが、税務上は計算によって一部が損金に参入されない可能性があります。
・社長の個人的な支出として役員賞与
支出の相手が社長の親族であるので、個人的な支出=役員賞与として源泉税の対象+税務上損金不参入として取り扱います。
可能性としては寄付金より役員賞与とされるほうが高いでしょう。
ご祝儀を貰う側は領収書を用意するのが礼儀
このように経営者が、その立場でお呼ばれして結婚式に参加する場合、ほとんどのケースでご祝儀は経費処理することが可能です。
また上記のパターンでご祝儀を支払った場合は、
- 日付
- 支払ったご祝儀の金額
- 誰の結婚式に参加したか?
ということを記録しておけば、領収書が無くても、支払い額を経費に算入することができます。
逆に言えば、もしも結婚する当事者が、社内外の人を自分の結婚式に招待する場合は、領収書を用意しておき、参加してもらう方への最低限の礼儀を払う必要があるでしょう。
ご祝儀などお金のことは、事前に正しい知識を踏まえて処理した上で、結婚式当日は二人を心から祝いたいものですね。