エース黒田 広島に戻るも前年の税金大丈夫?
アメリカ大リーグヤンキースから、広島カープに大エース黒田博樹投手(以下、黒田投手)が戻ってくる。
米国では前年も11勝(9敗)で一流投手の証である200回をほぼ達成し(投球イニング199回/シーズン)、不調にあえぐヤンキースの屋台骨を文字通り支えていた。
年齢こそ今年の2月で40歳になるものの、あと2〜3年は大リーグで通用したはずであり、オファーで20億円以上に及ぶものがあった。15億円の年俸減は直接のデメリットとなる。
それに追い打ちをかけるのが税金面のデメリットだ。
簡易計算で以下紐解いてみる。
日本の富裕層税負担はアメリカより大きい
プロ野球選手は個人事業主であり、年俸交渉にあたる代理人や、マネジメントを仕切っている吉本興業への支払いが生じる。また、控除の差し引き部分もあるが、今回の投稿では細かい計算を排除する。
1)アメリカで支払う税金額
まず、今年アメリカで支払い義務の生じる税金額は、以下の条件を元に計算できる。
- 前年所得:1,600万ドル(約19億円)
- 米国の所得税:39.6%(高年収のため最高税率)
- NY州の所得税:8.82%
黒田投手の税金は単純計算で48%、9億円弱近く持っていかれ、手元に残るお金は約9億円強で、半分以上は残る計算だ。
2)来年日本で支払い義務が生じる税金
次に、来年日本で支払い義務の生じる税金額を、以下の条件を元に計算する。
- 前年所得:4億円
- 日本の所得税率:45%(高年収のため最高税率)
- 広島県の県民税/住民税:(市町民税6%、県民税4%)10%
以上により、年俸4億に対して、税金の率は55%と、アメリカより7%も上昇する。単純計算で手元に残るのは1億8,000万円程度だ。
4億円の年棒に対し税金が2億2千万程度取られる計算だ。更に稼ぐ額が1/5へ減るのに、税金の負担率は格段の上昇を見る。
日本球界の復帰は税金面でもデメリットが大きいことがわかる。
メリットは少ない 社会的使命が黒田を動かす
以上の計算は不明要素が多い中で単純化したものであり、そのままの額面で受け取るものではない。
これまで黒田がアメリカで稼いだ年俸総額は90億弱に登る。
税金を半分弱支払ったとしても、45億程度残った資金(コマーシャルなど他収入除き)を、資産化したり、他の富裕層同様に投資運用に回し、資産形成や節税対策を行っているからこそ、今回の決断に至れたのだろう。
だとしても、稼げる人間が敢えて稼げない税金の高いところに戻るという行動は、社会的使命感がなければ成し得なかったことだろう。
黒田投手の「骨を埋めるつもりで戻ってきた。」という広島カープへの復帰声明は、本音以外の何物でもない。