お酒が好きな方の中には、自らお酒を作るところから楽しむ方もいらっしゃるかもしれません。ところが自宅でお酒を作る行為は、気をつけないと違反になってしまう場合があります。それ以外にも、お店でお酒を提供するのに免許は必要なのか?ビールキットが流行しているけれど、ビールって自分で作って良いんだっけ?などお酒と法律に関わる「イロハ」を本日はご紹介致します。
自家製のお酒を作って思わぬところで法律違反
読者の皆さんは、お酒が好きですか?
私は強くはないのですが、お酒を飲むのは結構好きな方です。
みんなでワイワイ飲んだりするのも楽しいですし、一人でまったりと飲むお酒も美味しいです。
ところで、お酒好きの方の中には、自分で青梅と焼酎を買ってきて「自家製梅酒」などを作り、お酒を作るところから楽しんでいる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、この自宅でお酒を作る行為、気を付けないと法律違反になることがあるんです!
今日は、酒税法について学んでみたいと思います。
お酒の法律「酒税法」は何を定めているの?
意外かもしれませんが、お酒に関する法律は「酒税法」という、税金に関する法律で規定されています。
酒税法においては、原則的に「アルコール度数1%以上の飲料」は全てお酒とみなされて、酒税法の適用範囲となります。
お酒に該当するものを販売したり製造したりするためには、税務署で「酒類販売免許」や「酒類製造免許」というような免許を、取得しなければならないこととなっています。
でも、お酒を販売したり製造したりする全ての人たちが、これらの免許を持っているわけではありません。
免許がなくても良い場合などもあるのです。
飲食店でお酒を販売するのは免許無しでもOK
まず、居酒屋やレストランなどで、お酒を販売する場合はどうでしょうか?
Q:自己が経営するレストランで酒類を提供したいと考えていますが、酒類の販売業免許は必要ですか?
A:酒類の販売業をしようとする場合には、酒税法に基づき、販売場ごとにその販売場が所在する地の所轄税務署長から、販売業免許を受ける必要があります。ただし、酒場、料理店その他酒類を、専ら自己の営業場で飲用に供する業を行う場合には、販売業免許は必要ありません。
簡単に言ってしまえば、お店の中で販売するものについては、酒類販売免許は必要無いというコトです。
ただ、お持ち帰り用にお酒を売ってしまってはダメなんですね。
なので、ボトルを入れて飲み切れなかった場合、ボトルごとお酒を持って帰ってしまっては、ダメだというコトです。
もしお客さんに持って帰ってもいいと言われたら「法律で禁止されていますので・・・」とお答えしましょう。
自家製の梅酒はタダならお友達にあげても良い
それでは、自宅で梅酒を作るには免許が必要でしょうか?
Q:消費者が自宅で梅酒を作ることに問題はありますか?
A:焼酎等に梅等を漬けて梅酒等を作る行為は、酒類と他の物品を混和し、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされますが、消費者が自分で飲むために酒類(アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限ります。)に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としないこととしています。
また、この規定は、消費者が自ら飲むための酒類についての規定であることから、この酒類を販売してはならないこととされています。
1 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ
2 ぶどう(やまぶどうを含みます。)
3 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
自分で飲む分の梅酒を作るのであればオッケーとなっています。
しかし、自家製の梅酒をお持ち帰り用に売ってしまっては、販売行為となるのでダメです。
タダであげる場合はどうか?という論議があったのですが、お金を受け取らない場合にはオッケーということになりました。
小料理屋や旅館が、お店で作った梅酒などを振舞う場合も、そのお店で消費されるのであれば大丈夫です。
ポイントとなるのは「作った場所で消費されるかどうか」というところです。
自家製ビールはアルコール度数がポイント!
最近、ホームセンターなどで「自宅で作るビールキット」なるものが売られています。
ビールに関しては、梅酒と取り扱いが異なるので注意が必要です。
Q:「手造り麦芽飲料用」の缶入り、いわゆる「ビールキット」を購入して、自宅で自家製ビールを造ることに問題はありますか?
A:酒類を製造する場合には、税務署長の免許が必要となります。
酒類とは、酒税法上、アルコール分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることのできるもの又は溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。)をいい、当該製品により製造されたものがアルコール分1度以上の飲料となる場合は、酒類製造免許が必要になります。
ただ、ビールの製造免許は、年間の製造見込数量が60,000リットルに達しない場合には受けることができません。
購入された商品については、アルコール分1度以上にならないよう、製造方法が取扱説明書に具体的に記載されていると思われますので、その注意書に沿って、アルコール分が1度未満となるようにしてください。
ビールの場合には、アルコール度数がポイントです。
アルコール分1%までなら大丈夫ですが、それ以上になると製造免許が必要です。
ちなみにビールの製造免許を受けるには、年間60,000リットル以上の製造量が必要です。
1日165リットルのビールを飲むツワモノは、挑戦してみて下さい。
あとがき
まだまだ、お酒にまつわる話は色々とあります。興味のある方は是非、ご自分でいろいろ調べてみて下さいね!
お酒も美味しいですけど、一緒に食べるおつまみも美味しいですよね。
余談ですが、おつまみのことを「さけのさかな」と言いますが、この「さかな」は魚ではありません。
酒の菜と書いて「酒菜(さかな)」です。「肴」とも書きますね。
酒菜はあぶった、烏賊でいい~♪ ( *´艸`)ナンツテ