始業・終業時間を早めるサマータイムは、人件費の圧縮、社員のワークライフバランスを充実させるため導入が進んでいる。周年でサマータイム制度を導入する企業も増えており、背景に海外との競争激化に対応すること、人材不足に対応するため優秀な人材を幅広く集めるなど多くのメリットが見える。
サマータイムを通年導入する企業が増えている
サマータイムとは1年のうち夏を中心とした期間に、日照がある時間帯を有効利用する目的で、企業が始業・終業時間を30分から1時間程早める制度であり西欧諸国では早くから導入されてきた。
日本でも近年、武田薬品、ファーストリテイリング、ユニ・チャームなどの企業でワークライフバランスの充実、業務の効率化を図る目的でサマータイムが導入されている。
一般的に導入企業はサマータイムシーズンを、6月1日から9月30日に定めているが、メリットから通年採用する企業も増えてきた。
東京都中央区の食品総合卸企業では10月以降も就業時間を午前8時から午後4時30分までとし、10月以降も継続するという。
同社は「残業時間を減らすことで人件費を7%カットできた。社員が課外活動や家族との充実した時間を過ごすことも可能になるため通年導入を決意した。」という。
コスト節約以外の効果 競争力を高めるメリットがある
国際競争力の激化と共に海外との連携を高めるためにサマータイムを導入したのは、ファーストリテイリングだ。
本社の就業時間を午前7時から午後4時とし、海外対応をスムーズに行う狙いがあるという。
幼年の子供を抱え残業が難しいキャリアウーマンを社内で雇用するため、 適用を希望する社員限定で通年のサマータイム制度を導入したIT企業もある。
子供の保育施設への送り迎え、ゆとりを持った家事ができるため、キャリアやITスキルを持った女性従業員の応募が殺到した。
サマータイムはコスト節約のみならず、国際競争力を高める効果、多様な人材確保を可能とする競争優位性を企業にメリットとして与えている。
導入には一定の理解が必要 強制は悪影響
経営者の鶴の一声でサマータイムが導入されるケースも多いが、社員がメリットを理解しておらず強制的に導入された場合、社内モチベーションが下がってしまうリスクがある。
もし経営者として導入を検討しているなら、サマータイムを導入する目的、得られるメリットを社内に説明し一定の理解を得ることが必要だ。
部署によってはサマータイム時間外に対応することが必須で、制度の導入自体がデメリットにつながる場合もあるため、ワークスタイルを選択する手段として、導入の選択を社員個々や部署ごとに委ねて制度導入するのも可能だ。
自社の社風に合わせた節約効果と競争力拡大を目的としサマータイム導入検討は懸命な経営選択手段といえる。