5月26日(火)の日経新聞は、「政府が税理士に対し、企業に提供している節税策の報告を2017年度にも義務づける検討に入った。」と報じました。大きな税収減につながる節税が対象となり、報告を拒む場合は罰金も検討されます。しかし賢明な経営者にとっては、キャッシュの出ない「良い節税」を行う方針を変える必要は全くありません。
節税報告義務を政府が2017年から義務付け
5月26日(火)の日経新聞は、「政府が税理士に対し、企業に提供している節税策の報告を2017年度にも義務づける検討に入った。」と報じました。
政府にとって大きな税収減につながる節税が対象となり、報告を拒む場合は罰金も検討されます。
海外では昨年よりタックスフリーを利用した巨大企業(アップルやスターバックス等が良い例)の露骨な節税対策に対して、世界的な包囲網が築かれ始めました。
当サイトでも「アップル節税阻止 ヨーロッパの伝統的価値観」を通じて、日本への影響を示唆しておりましたが、ついに日本政府も税収減を防ぐための対策を打ってきました。
「良い節税」を行うことに方針の変更なし
今回の節税報告義務の適用措置検討は、企業経営者に対してどのような影響を与えるのでしょうか?
結論から言うと、多くの賢明な経営者にとって行うべき節税対策に、何ら方針の変更は必要ありません。より一層「良い節税」を行うことに意識を集中するべきでしょう。
「良い節税」とは、
- 1)節税を打ち出す時点で資金が不要
- 2)会社に対して永久的な効果があり
- 3)高い節税効果を出し続ける
節税のことを言います。
具体的に言えば、会社が元々保有する資産を利用した節税対策や、既に投資した資金を利用した、コツコツ節約型の節税対策が、「良い節税」と言えます。
節税報告義務の施行でやってはいけないこと
では今回の節税報告義務の施行にあたり、経営者がやってはいけないこととは何でしょうか?
「制度が施行される前になるべく節税を行おう」と、わざわざ焦って不要な資産(不動産・車両・嗜好品)を購入したり、見境ない投資を行うことが、一番やってはいけないことです。
これらの節税対策は、いわゆる「悪い節税」の代表格であり、かえって会社の財政状態を悪化させてしまいます。
今回の政府方針が出たからといって、露骨にキャッシュアウトを伴う節税対策を2017年までに行おうなど考えず、身の回りに節税対策に向けて有効な資産がないか、財務諸表や現場の中から探してみるのが賢明と言えるでしょう。
「キャッシュ・イズ・キング」という言葉もあるように、会社から出るお金はなるべく少ない状態が節税の理想対策なのです。