運転免許証の取得費用を会社で負担してでも社員に取らせたい
ここのところ運送会社の人手不足が話題になっています。
トラック運転手として働いてくれるなら、大型免許取得費用を負担してあげてでも雇いたい、と考える経営者もいるようです。
また、営業マンなど仕事で車を運転しなければならない、という人も多いと思います。
では、運転免許証の取得費用を企業活動に不可欠な費用として、会社が負担することは可能なのでしょうか?
営業社員が免許を持ってない!会社負担で免許を取らせる3要件は?
結論から言うと、運転免許は個人に帰属する資格のため、取得費用を会社が負担しようとすると、その人への給与(賞与)として源泉徴収の対象としなければならないのが原則です。
ですが、どのような場合でも必ず給与というわけではなく、福利厚生費などの会社経費として給与課税しなくてもよい場合もあります。
- ①その資格等がその会社の業務遂行上必要であること
- ②その資格等がその社員としての職務に直接必要であること
- ③その費用負担が資格取得費用として適正な金額であること
この3つを全て満たすことが、給与課税をしない要件とされています。
それぞれの要件について詳細に見てみましょう。
①その資格等がその会社の業務遂行上必要であること
例えば運送会社の中型・大型免許や、建設会社の重機等特殊免許、バス・タクシー会社の第二種免許といったように、会社の事業と直接関連のある運転免許であればOKということになります。
建設会社で二輪免許となると、関連性が無いためNGです。
②その資格等がその社員としての職務に直接必要であること
②の要件は、免許取得者本人との関連性です。タクシー会社で第二種免許というのはよいのですが、例えば本人の仕事が総務・経理となると、第二種免許の取得が社員の職務に直接必要とは言えなくなります。
③その費用負担が資格取得費用として適正な金額であること
負担金額を無制限に認めるわけではないということで、法律上明確な上限額が決められてはいませんが、何度受けてもなかなか受からずにその都度会社が費用を負担しているとなると、教習費用まで考えれば100万円を超えてしまう恐れもあります。
会社側も1回若しくは2回までというような制限を設けて、それ以降は本人負担となる旨決めておくことが必要でしょう。
普通免許の会社負担は何らかの理由付けが必要
これら3つの要件を踏まえたとき、普通免許というのは線引きが難しくなります。
たとえば、単に営業周りで乗るからといった理由で費用負担するのでは、給与課税の対象となる可能性があります。
とはいえ数十万する免許取得費用を会社が負担してでも、従業員が取得したほうがメリットがあるなら、
- 免許を持っていなかったのを会社命令で取得させた
- 営業ではほぼ必ず運転する必要がある
- 自己では車を持っておらず会社の営業車しか運転しない
など会社が負担すべき何らかの理由付けを考えておいたほうがよいでしょう。