未上場企業へのクラウドファンディング投資 魅力はある?

資金調達

インターネットを通じた未上場株の投資勧誘が2015年5月に解禁。いよいよクラウドファンディングを利用し、未上場企業へ出資が可能に。

今回の措置により投資先の出口となるであろう代表的なサイトをおさらいすると同時に、現時点でのクラウドファンディングによる未上場企業への投資が抱えるリスクを注意喚起したい。

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インターネットで未上場企業への投資解禁

起業や新事業立ち上げで、クラウドファンディングを利用することが常識になりつつある。

そして今、その歴史が新たなページを開こうとしている。

インターネットを通じた未上場株の投資勧誘が今年5月に解禁されることが金融庁により決定された。※1これにより、クラウドファンディングを利用し、未上場企業へ出資が可能となる。

未上場企業が株の投資勧誘を行うことは、日本証券業協会が禁じていたが、今回の金融庁の決定によりこの規制も解かれることになった。

ベンチャー企業などを中心とした未上場企業への投資には当然リスクも伴うが、新たなマーケット、新たなチャンスが生まれたともいえる。

出資金は損金決済が可能なので、節税にもつながるのも魅力の1つだ。

本稿では、クラウドファンディングの基本説明と、クラウドファンディングでの未上場企業への投資リスクについて説明する。

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クラウドファンディングの御三家おさらい

クラウドファンディングとは、クラウド「群衆」とファンディング「資金調達」を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数から資金調達をはかるサイトで、この数年で話題になっているサービスである。

資金を調達したい事業者にとって画期的なサービスであるが、投資側の立場としては、見返りを求めない寄付を目的とした応援、商品やサービスの購入などとして現在浸透している。今回の改正は、これに「株式投資型」の普及をはかる目的だ。

では、代表的なクラウドファンディングの御三家と言えるサイトをご紹介しよう。

READYFOR?

日本初のクラウドファンディングサービスで、活気があるのが特徴。幅広いジャンルのプロジェクトがあるが、中でも社会貢献目的のものが目立つ。

campfire

アイドルやCDデビューなど個性的なプロジェクトが多く、堀江貴文氏が5300万円を目標とするビッグプロジェクトを立ち上げたことでも話題になったサイト。

マクアケ

サイバーエージェントの子会社が立ち上げた比較的新しいサイト。後発組ではあるが、昨年から公募による資金調達額が他のサイトを抜いて1位になっている。

それぞれ仕組みは大きく違わず、多種多様なプロジェクトが日々立ち上がり、サポーターやパトロンなどの応援者数や目標金額、達成度などをオンタイムで見ることができる。

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未上場企業への投資が持つリスクは不変

未上場企業への投資は、株式の流動性が低く換金価値のない場所へ、資金を置くことを意味する。

現物留保の少ない企業が多いことも予想されるため、配当による収入を得ることは難しい。

一方で、投資した会社が上場することになれば、大きなキャピタルゲインを得るチャンスともなる。

つまりクラウドファンディングによる未上場企業への投資は、「多額の利益か倒産で価値ゼロ」のハイリスクハイリターン投資という点で、これまでとリスクは何も変わらない。

出資者は1人50万円までの投資、資金調達側は合計1億円未満まで、という上限が設定されていることはそのことを暗に示していると言える。

出資者の具体的なリスクヘッジとして、

  • 投資判断の指標となる財務諸表・経営計画を会社が公表し、企業としての透明性が高いこと
  • 株主名簿を公表していること(反社会的勢力が既存株主に混じると、上場基準に抵触し株の価値はゴミクズとなる)
  • 上場の可能性を投資対象となる企業から、直接または間接的に問うのが可能なこと

といったポイントを抑えて投資判断することがあげられる。

また、投資を受ける側はIT関連企業が多いことが、予想される。IT企業は業界が日々革新されていくため、業績の見通しが立てにくい。

昨年11月に上場したgumiのように、投資先が上場したは良いが、業績の甘い見通しを行い上場後に大幅下方修正に陥れば、キャピタルゲインを得られるどころか、塩漬け(保有による長期含み損抱え)を抱える事態に陥ることも想定しなければならない。

もっとも、クラウドファンディングの理念である「見返りを求めない寄付を目的とした応援」を純粋に追求するなら、これらの注意喚起は不問となる。

政府のクラウドファンディングにかこつけた、「未公開株投資詐欺の便乗商法」からの消費者保護も、後々問題となってくるだろう。

現時点では「クラウドファンディングによる未上場企業への投資」は、極めてハイリスクだといえる。今後の動向を見守っていきたい。

参照元
※1 日本経済新聞 2月25日付け記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO84114620Y5A300C1NN1000/

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