ビットコインやイーサリアム、リップルといったいわゆる「仮想通貨」の取引量が急増しています。会社で仮想通貨を購入している場合もあるかもしれませんが、これらを購入や決済をした場合、どのように会計処理すべきでしょうか。実は現在、明確な基準は設けられておらず、2つの意見に分かれています。すなわち、仮想通貨を資産とする基準と、現金とする基準です。
仮想通貨の取引が拡大!現状の課税をおさらい
ビットコインやイーサリアム、リップルといったいわゆる「仮想通貨」の取引量が急増しています。
「仮想通貨」とは、主にインターネット上で円やドルといった通常のお金のように取引・決済されるものの、特定の国の保証がない通貨で、実物ではなく電子データとして存在しているものです。
その中でも、特にビットコインは今年の春以降相場が急騰して話題となっています。
日本でも取り扱いの環境整備が進み、この4月からは取引所が金融庁の監督下での登録制となり、また現行では「モノ」として消費税の課税対象としての取り扱いのところ、7月からは現金などと同じ「支払手段」として消費税の非課税取引とすることが決まっています。
その他、ビックカメラが一部の店舗でビットコイン決済を導入するなど、実際の店舗で決済できる場面も増えてきています。
ビットコインの購入や決済の会計処理はどうなる?代表的な2つの意見
とはいえ、その値動きの大きさから投資対象としてのイメージのほうがまだまだ大きいかもしれません。
では会社でビットコインの購入や決済をした場合、どのように処理すべきでしょうか。
実はこの点、どのように会計処理すべきかを今まさに検討中です。そこでここでは代表的な2つの意見を取り上げます。
棚卸資産と考える
ビットコインを投資対象物として購入した場合には、こちらの考え方のほうがイメージしやすいでしょう。
購入時には棚卸資産の一種として計上し、売却時には売却代金を収益計上したうえで、棚卸資産のビットコインを原価に振り替えます。
外貨建ての現金と考える
ビットコインは決済手段として設計されているものであり、外貨のように需給に応じてレートが変動することから、このように考えます。
購入時には現金等の一種として計上し、その後例えば消耗品等を購入した際にビットコイン決済を行った場合、その購入時のビットコイン取引価額に応じて消耗品を計上したうえ、ビットコインの当初計上額との差額を利益もしくは損失(外貨建取引でいう為替差益/差損)として処理します。
ビットコインを支払手段/決済手段として購入した場合には、こちらがイメージしやすいでしょう。
今年の7〜8月に基準案が公表予定し処理方法は統一へ
企業会計基準審議会が今年の7~8月を目途に基準案を公表する予定なので、そちらをもとに処理が統一されていくことでしょう。
それまでは、従前の処理方法に従う以外無いというのが現状になります。