たまの恩返し(罪滅ぼし)、レセプションに同伴してもらいたい、など様々な理由で配偶者を海外出張へ同行させる場合があります。この際に配偶者を連れて行った費用は、「海外渡航の目的を達成するために必要な同伴」という基準のもとで、経費となる・ならない、の判断がわかれます。以下、詳細を解説いたします。
配偶者を海外出張に連れていく目的は人それぞれ
海外出張に出かける際に、
- 普段迷惑かけているからたまには恩返しの意味も込めて
- 出張期間が長いから何かと世話してもらいたい
- 滞在する国のレセプションで配偶者同伴を希望された
などの理由で、普段は会社と一切関わりを持たない配偶者を海外出張へ同伴する場合があります。
では、これにかかる費用をどのように処理すれば良いのでしょうか?
配偶者を海外出張に連れて行った費用が経費になる場合・ならない場合
原則論から言うと、配偶者を海外出張へ連れて行く場合、その費用は連れていく役員の給与とみなされます
法人の役員が法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とする。
法人税法第2款 海外渡航費 (同伴者の旅費)9-7-8
ただし、同法は配偶者を連れて行くことが「海外渡航の目的を達成するために必要な同伴」と認められる場合には、配偶者を連れて行く費用を経費として全額損金算入して良いと認めています。
その主なケースとは、
- (1)その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合
- (2)国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合
- (3)その旅行の目的を遂行するため外国語に堪能な者又は高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、適任者が法人の使用人のうちにいないためその役員の親族又は臨時に委嘱した者を同伴するとき
とされています。
これを踏まえると、普段の恩返し、世話役などの理由で、配偶者を海外出張へ同伴する費用は、当然役員の給与となります。
一方で、海外のレセプションパーティでは、現地の習慣によって夫婦同伴を求められることもあり、配偶者が一緒にレセプションパーティに参加することが会社の信頼を高めるのに寄与する場合があります。
従って、「海外渡航の目的を達成するために必要な同伴」であれば、配偶者を海外出張へ連れて行った費用は、経費算入が可能です。
プライベートで使ったお金は当然家計から出費
もっとも、海外出張とはいえ、自分が仕事をしている間に配偶者が1人で過ごす時間があったり、最後の一日くらいはと2人のプライベートな時間を作ることもあるでしょう。
この際にかかる費用は、家計から出費すべきものです。
少しくらいは良いだろう…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今では税務署でもSNS対策チームが編成されるなど、一度目をつけられると、ありとあらゆる手段で、何に誰のお金を幾ら使ったかが調べられます。
くれぐれも公私混同だけは無いようにすべきでしょう。