住民税、消費税、法人税…企業はいつでもあらゆる税金の支払に追われており、納税は社会に求められる義務でもあります。しかし、激しいビジネス環境の中で、税金支払をどうしても一定のタイミングでスキップしなければならない時が生じるかもしれません。そこで本稿は、税金納付を遅らせる3つの方法をご紹介したいと思います。
税金を支払うと資金繰りが辛い時あるよね〜…
前期が黒字となった場合、企業は必ず法人税を納付しなければなりません。
法人税率は国の政策により、現時点では下げられていますが、それでも負担は大きいものです。
また、環境は常に変化し続けますから、
- 前年より売上が下がった
- 売上は増えているが人員増強にコストがかかっている
- 売上は増えているが設備投資にコストがかかっている
などの理由によって資金繰りが苦しく、法人税の支払が厳しくなることがあります。
これ以外にも、住民税、消費税など、あらゆる税金の支払に追われ、いずれかを緊急でスキップしなければならない時、税金納付を遅らせる3つの方法を覚えておくことは得策と言えるでしょう。
資金繰りが辛い時に税金納付を遅らせる3つの方法
1)分割納付制度の活用
滞納した税金の額が100万円以内かつ、分割納付期間が数ヶ月程度の少額滞納の場合は、税務署の徴収職員との話し合いのもとで、納付計画を提示し、納付契約書を提出すれば、税金の分割納付を行うことが可能です。
この期間は財産の差し押さえも行われませんが、できるだけ早いタイミングで申請を行うことで、延滞税の支払額を少なくする必要があります。
2)納税猶予制度の活用
天災が起こる、火災等の事故により事業運営に著しい障害が起こり、税金の支払いに困難が生じた場合は、納税猶予制度を活用できます。
この場合は、管轄の税務署長の許可を受け、1年以内の分割納付を行う形となります。
制度の活用には、原則的に担保を必要とされますが、納税猶予されている期間中の延滞税は、全額または半額を免除される形となります。
3)換価の猶予
既に長期間の税金滞納を行っており、会社の財産が差し押さえられていても、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められ、
- 納税について誠実な意思を有すると認められ
- 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納が無く
- 納付すべき国税の納期限から6か月以内に「換価の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されており、
- 猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供がある
という条件を満たしている場合には、換価の猶予を受けることが可能です。
ただし、換価の猶予を受けることができる期間は、1年の範囲内で、申請者の財産や収支の状況に応じて、最も早く国税を完納することができると認められる期間に限られます。
最善の滞納対策は入念な資金繰りと期限内納付
法人への税金は数ヶ月や1ヶ月以内の遅れであれば、延滞税を支払う必要もありませんが、額が額なだけに、数カ月もすると即督が届き、延滞税を支払う必要に迫られます。
上記3つの税金支払い猶予は、いつ何が起こるかわからない企業経営者にとって、必至の知識と言えるでしょう。
とはいえ、資金繰り計画を作って税金を期限内にしっかり収めるのが、税金滞納に対する最善策です。
普段からコツコツ節約、しっかり利益を出す意識を持つことが肝要です。