中小企業が別会社を設立する際は、主に4つの節税効果が見込めます。法人税や交際費、特例の適用に、消費税などで、様々な節税効果が見込めるのです。
ただしデメリットも把握しておくことが懸命と言えそうです。
別会社を作ると「節税」の観点からメリットあり
会社の規模が大きくなると、別会社を設立してはどうかというアドバイスを受けることがあります。
そのアドバイスには大きく分けて「企業組織」と「節税」という2つの観点が存在します。
本稿では「節税」という観点から、別会社を設立することの意義を考えてみましょう。
なお、前提条件として、既存会社・新会社ともに資本金1億円以下の中小法人とします。
別会社設立により生じる4つの節税メリット
新しく会社を作るには、
- 既存の会社の子会社として設立する方法
- 全くの別会社として作る方法
という2つの方法があり、節税でも取り扱いが異なる場面が出てきます。
以下、これらの点を踏まえた上で、別会社を作るメリットについて考えてみましょう。
別会社設立が節税対策になる理由①:税率が低くなる
現在の法人税の税率は23.4%(地方法人税除く)ですが、中小企業では年間の所得800万円以下の部分について、税率が15%に抑えられています。
仮に既存会社の利益(所得)が1,600万円だったとすれば税額は、
- 800万円x15%+800万円+23.4%=307.2万円
となります。
対して、新会社を作って利益を半分に分けられたとすると、
- 既存会社800万円x15%=120万円:新会社800万円x15%=120万円
つまり法人税の支払いは計240万円に抑えられるため、地方税まで加味すれば更にに多くの税額を節約することができます。
別会社設立が節税対策になる理由②:交際費が多く使える
中小企業では、年間800万円までの交際費は全額損金算入されます。
1千万円の交際費であれば200万円は損金から除かなければなりません。
もし新会社を作ってうまく交際費を分割できれば、800万円x2社分=1,600万円までの交際費を損金に算入できる計算になります。
別会社設立が節税対策になる理由③:特例の適用効果が増える
景気対策などで、中小企業には期間限定の特例が設けられることがよくあります。
現行では少額減価償却資産の特例(30万円未満の固定資産の一時償却)が有名ですが、年間合計300万円が限度です。
これも別会社があれば最大300万円x2社分=600万円まで使用できるようになります。
別会社設立が節税対策になる理由④:消費税の免税
資本金1千万円未満の法人を設立すると、新設法人の特例を使って、最大2年間消費税の納税が免除されます。
別会社を設立する際に考える3つの注意点とは
以上、別会社を設立するメリットのうち、代表的なものを4つ挙げてみましたが、もちろん別会社を設立する際は注意点も存在します。
最後になりますが、別会社を設立する際の注意点もご紹介したいと思います。
均等割(地方税)が増える
会社を作ると無条件で均等割という税金がかかってきます
赤字の場合に節税ができない
どちらかの会社が赤字となった場合、単体であれば黒字と赤字が相殺され全体の利益(税額)が減らせた可能性があります。
消費税の還付を受けられない場合も
新会社が消費税を免除されている場合、多額の初期投資がかかったり、業績不振で大赤字のときなど、本来なら消費税の還付を受けられるときでも受けることができません。