タレントの小倉優子さんが、所属していた芸能プロダクションから「一方的に契約解除されたのは不当」と訴えられていた訴訟で、東京地裁は「事務所による脱税」を主因として請求を棄却しました。そこで本稿は、芸能事務所がよく使う脱税手口を3つご紹介したいと思います。
小倉優子さんが元所属事務所に勝訴:主因は事務所の脱税
タレントの小倉優子さん(以下:小倉さん)が所属していた芸能プロダクション「アヴィラ」が、小倉さんによる一方的な契約解除を不服として、小倉に1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁が「契約解除は正当」と認め、請求を棄却しました。
小倉さんは前所属事務所の法人税法違反(脱税)が2010年3月に確定した後、同年11月に契約解除の通知を送っています。
芸能事務所側の脱税問題は度々ニュースを賑わしますが、一体どのような手口が用いられることが多いのでしょうか?
代表的なものをご紹介したいと思います。
芸能事務所が脱税する上でよく使う3つの手口
タレントの生活費・美容代を報酬として計上
2015年AKS(AKB48運営会社)が累計5億円に上る申告漏れにより、1億円以上の追徴税を支払った際は、メンバーの家賃、美容代(歯列矯正費用)が報酬として支払われていたことがわかっています。
しかしメンバーそれぞれは、運営会社ではなく、所属事務所から個人事業主または社員として給与の支払いを受けているため、これらの費用は寄付金とであると判断され、税金の支払いを免れませんでした。
同じような例による摘発は、過去において最もよく見られる事例です。
架空経費を利用した循環取引
決算期を意図的にずらした複数の関連会社間で、架空経費を支払う形を取って利益を循環させ、所得額を圧縮するケースもあります。
撮影協力費、チケット販売の斡旋手数料などの名目で架空経費を計上し、わざと損金を出したかのように見せかけて脱税が行われます。
移籍金を支払ったと見せかけ大きな損金を出す
元々そのタレントのマネジメントを行っている実態があるにも関わらず、関連会社にタレントの籍を一旦預けて、移籍金を関連会社に支払う形でわざと損金を出す手口もあります。
小倉さんの脱税による契約解除は極めて妥当
芸能事務所は人件費に比重が大きくおかれた、経費の全容を把握しにくいビジネスモデルで成り立つため、脱税がし易いと言われています。
しかし、一度脱税がバレると、その事実は大きく報道されることから、タレントに与えるマイナスイメージも非常に大きくなります。
これらに鑑みると、小倉さんが脱税を行った事務所との契約解除を行ったのは、極めて妥当な決断と言えるでしょう。