新規事業はコスト削減と不効率の是正がカギ

コスト削減

 新規事業の立ち上げはワクワクするが、構想の段階で壮大なプランを立てても、実際に市場のニーズがないため多くが頓挫する。新しい需要を喚起し0から作るスタンスよりも、既存の業界に存在する非効率な慣習に便利な仕組み(コスト削減/不効率の是正モデル)を導入することで、成功するパターンが多い。幾つかの事例を紹介する。

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新規事業はワクワクするが多くは失敗する

 年初ということもあり、新たな事業の計画を立てている経営者や、起業準備に備えている方も多いことだろう。
 
 新規事業の立ち上げはワクワクするが、構想の段階で壮大なプランを立てても、実際に市場のニーズがないため多くが頓挫する。
 
 過去の例で言うと、ファーストリテイリングがファッションと全く関係のない有機野菜の販売事業に手を付け、派手に失敗したこと(2年で事業から撤退した)は最たる事例である。
 
 新しい需要を喚起し0から市場を作るスタンスよりも、既存の市場に存在する非効率な慣習に、便利な仕組み(コスト削減/資源有効活用モデル)を導入することで、成功するパターンのほうが多い。
 
 本稿では幾つかの成功事例を紹介する。

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業界の不効率を改善し成功するベンチャー

1)ラクスル 印刷業界を効率化

 約4兆円の巨大市場を持つ印刷業界は、不効率の渦巻く業界である。大手二社(凸版印刷・大日本印刷)が市場シェアの約80%を握り、残りのシェア20%を約99%の事業所シェアを持つ中小企業が過当競争で潰し合う。※1そのため公正で透明な市場価格が存在しなかった。ラクスルは、印刷ポータルサイト「raksul」を運営し、全国の印刷会社からの印刷の一括見積サービスを提供し、市場価格を作り出すことに貢献している。2014年に大型増資を行い資本金は18億円となっている。ラクスルHP
 

2)スターフェスティバル 中食業界の効率化

 法人会議の弁当費用は、一人あたり5,000円まで会議費として落とすことが可能で、多くの潜在ニーズが眠っていた。しかしこれまでの弁当業界(宅配/中食)では、細かな顧客ニーズに合わせた弁当セレクトから注文、デリバリーを一貫提供する企業がなく、小さな弁当屋が自前営業と自前デリバリーで少ない選択肢から企業に会議用弁当を選ばせる状態が続いていた。スターフェスティバルはオンライン弁当モール「ごちクル」を開設し、好きな弁当(独自ブランド/有名店含め)を好きなタイミングで、法人が選択注文できる仕組みと、自社デリバリーを有することでニーズに応えている。2014年9月の時点で注文者数総計は600万人に到達した。ごちクルHP
 

3)八面六臂 鮮魚業界の効率化

 鮮魚のBtoBオンラインシステムを構築しているのが八面六臂だ。顧客は寿司屋から居酒屋、レストランまで多岐に及ぶ。顧客はiPadを配布され、八面六臂の独自アプリから多岐にわたる種類の鮮魚を注文できる。翌日には新鮮な魚が店舗へ届く。従来の鮮魚市場は、間接流通でムダなコスト(主に人件費)と時間が奪われ、流通もたらい回しとなることで魚の質にも大きな悪影響があった。八面六臂は、自社で魚を独自に予測買い付けし、細かな注文(例:魚のひらき5枚)にまで対応しデリバリーすることで、中間マージンのコスト削減を実現しようとしている。ベンチャーキャピタルからの出資を含めて、2014年までに6億以上の資本金を準備し、体制万全に鮮魚界にイノベーションを起こそうとしている。八面六臂HP

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貴方のまわりに存在する不効率がチャンス

 いずれの企業を創業した経営者も、自分が関わった(間接的な場合も含め)業界内にあった不効率を是正するところから新規事業を作り上げた。
 
 今、あなたが関わっている業界でささやかれているグチは、業界の不効率を映し出す鏡であり、そこに新規事業を開始するチャンスがある。
 
 時を見極めながら、虎視眈々と機会を伺っていこう。
 
※1 平成22年工業統計
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kougyo/result-2/h24/kakuho/sangyo/index.html

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