クラウドファンディングが短期間のうちに世界で受け入れられた歴史的背景

資金調達

 誕生してから10年も経過していないにも関わらず、クラウドファンディングは4兆円市場へ成長し、世界中で利用される金融サービスとなっています。全く新しい概念を元に誕生したように見える同ビジネスですが、実際には昔から同じ考え方で行なわれる金融システムがありました。それは世界中で共通する「寄進」という行為です。

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誕生して10年経過せずに4兆円市場となったクラウドファンディング

 三菱UFJ信託銀行の調査結果によると、世界のクラウドファンディング市場は、2015年時点で332億ドル(3兆7千億円)規模に到達していると言います。※

 矢野経済研究所の調査では、このうち363億3,400万円が2015年時点における、日本の市場規模として報告されています。※2

 クラウドファンディングを通じた資金調達の規模は、まだまだ小さいものの、年間で見れば倍々ゲームで増えているのが現状です。

 さて、一般的にクラウドファンディングは、米国発祥の金融サービスであり、ビジネスモデルの総称も英語の「Crowd」(=群衆)と「Funding」(=資金調達)を掛け合わせた造語です。

 確かにサービス自体はアメリカらしい概念ですが、実質的に市場が誕生したのは2009年に米国で、クラウドファンディングサイト「キックスターター」が誕生した頃。

 誕生して10年経っていないのに、市場は瞬く間に世界中へ広がっています。

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クラウドファンディングを浸透させるのは世界に共通する寄進行為

 なぜ、これほど短期間でこの市場が広がったのか、それは世界中で共通する“ある概念”が根幹にあるからです。

 それは、仏教・イスラム教・キリスト教全てに共通する「寄進」という概念です。

 寄進とは、寺院や神社、教会などに土地や金銭、財物を寄付する行為ですが、これはクラウドファンディングそのものです。

 時代的に一番近い事例を紹介すると、スペインのサグラダファミリアは、建設資金の全てを個人の寄進によって建設される教会として計画され、その設計も初代建築家フランシスコ・ビリャールが無償で引き受ける形で始まった、教会建築プロジェクトです。

 その背景には貧民救済という大義があり、サグラダファミリアが未だに建設中である理由の一つは、寄進が足りないゆえに建設が度々ストップしたことにあります。

 日本の例をあげると、伊勢神宮は多くの人や企業が行う寄進により、その運営の一部が行われています。

 伊勢神宮に寄進を行う人は、寄進することによって、日本の平安を祈念する天皇の役に立てるという自尊心や、自分の家族や会社を見守ってもらえるという安堵感を得ることが出来ます。

 金銭を精神的な価値と交換する行為が寄進なのです。

 実際に、寄進行為は波羅蜜(はらみつ)、つまり、完全かつ最高な状態を生み出す一つの行為と考えられています。

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日本にビジネスモデルが定着したきっかけも寄進の意味合い強いプロジェクトから

 日本にクラウドファンディングが定着し始めた契機の一つは、東日本大震災です。

 この時には、被災地を盛りたてるプロジェクトが寄付型の投資を募ったことで、多くの人に受け入れられました。

 寄付をした人は、自分のお金を社会貢献性の高いこと、共感できることに喜んで使ったのですが、この時感じた感情はまさに寄進行為と全く同じものだったと言えるでしょう。

 クラウドファンディングは、全く新しい金融ビジネスモデルと評されますが、実際には古くを訪ね新しきを知ることで生まれたビジネスモデルだと捉えることが出来ます。

Photo credit: Rocío Lara via Visual Hunt / CC BY-SA

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