会社へ通勤する際は、個人が各々の既に保有するカードに、会社から支給される交通費を入金して定期券を購入するケースが殆どです。しかし、旅費交通費を簡便に管理するため、会社で無記名のicカードを購入する場合もあります。この購入費用は経費となるでしょうか?また、これらカードが税務調査で狙われるケースについても触れてみたいと思います。
電車のICカードは無くてはならないインフラ
移動手段として電車を活用する方、かなり多くいらっしゃいますよね。
そして、登場から早15年が過ぎ、運賃の支払手段として活躍するようになったのが、各種ICカードです。
全国では、以下10種類のICカードが流通しています。
- JR北海道:キタカ
- 首都圏私鉄:パスモ
- JR東日本:スイカ
- 名鉄・名古屋市交通局:マナカ
- JR東海:トイカ
- 関西私鉄:ピタパ
- JR東日本:イコカ
- 西鉄:ニモカ
- 福岡市交通局:はやかけん
- JR九州:スゴカ
通常、会社へ通勤する際は個人が各々のカードに、会社から支給される交通費を入金して定期券を購入するケースが殆どです。
しかし、通勤以外の社用交通費を簡便に管理するため、会社で共有する無記名のicカードを購入する場合があります。
この際にかかる費用は、通常の旅費交通費として経費処理することができるのでしょうか?
会社で購入したICカードの費用は経費になる?
実は、会社で購入するicカードの費用は、旅費交通費として経費処理することができません。
なぜなら、ICカードの購入費用(通常だと500円)は保証金の性質を持っているため、不要となった時に返却してもらうことが可能な費用です。
つまり、ICカードの購入費用は、費用ではなく資産として「購入枚数✕単価」で資産として貸借対照表に計上されるものとなります。
ICカードの購入後にチャージされる費用は、もちろん旅費交通費として経費計上が可能です。
何らかの事情変更により、社内で共有するICカードが不要となった際は、各鉄道会社の窓口へカードを返却し、保証金の払い戻しを行い、これを現金化することになります。
チャージ残高が幾らかでも残っている場合は、払い戻し手数料がかかるケースもあるため、これにかかる費用は経費として計上することが可能です。
もっとも、チャージ残高がゼロになってからカードを返却すれば、これらの無駄な費用はかからないことでしょう。
ICカードを使った経費項目のすりかえや私的流用は目をつけられやすい
なお、最近の税務調査では、ICカードのチャージ費用が高額なケースで、脱税の疑いがかけられやすいケースが増えています。
なぜなら、スイカをはじめとする主要ICカードは、主目的として電車運賃の支払以外に、デパートやコンビニエンスストア、飲食店など様々な場所で利用できるようになりました。
たとえば、接待交際で利用した居酒屋の費用を電子マネーで支払ってしまえば、損金算入額に限りがある交際費とせず、旅費交通費にすりかえてしまうことが可能です。
他にも、経営者が私用で細々としたものを旅費交通費として計上すれば、多額の私的流用が可能になります。
これを防ぐために、会社で購入したICカードへのチャージ額は、その額が大きいほどチェックが入りやすい項目となります。
こうした問題から身の潔白を示すためには、細かいかもしれませんが、実態のある旅費交通費に関する明細をつけるのがベストと言えるでしょう。