昔からの佇まいを残すあの八百屋さんが潰れぬ4つの理由

節約

 今や野菜や果物を購入する場所といえば、イトーヨーカドーやイオンのようなスーパー、インターネットモールの宅配やお取り寄せが主流の時代。ところが、昔ながらの佇まいを残す八百屋さんが今でも元気ちゃきちゃき、健在な姿なのを見かけることはありませんか?なぜ昔ながらの佇まいを持つ八百屋さんで繁盛しているお店があるのか?4つの理由を詳しく解説してみたいと思います。

スポンサーリンク

時代は変われど未だ残る昔ながらの八百屋さん

 今や野菜や果物を購入する場所といえば、イトーヨーカドーやイオンのようなスーパー、コープやオイシックスをはじめとする宅配やお取り寄せが主流の時代。

 ところが、昔ながらの佇まいを残す八百屋さんも未だに健在だとは思いませんか?

 ダンボールをむき出しに並べて、お店も飾りっけもなく、ひなびた佇まいのように見えて、夕方になると主婦の行列を作り大繁盛している八百屋さんすら存在します。

 中には1店舗40坪程度で年間6億円の売上、粗利30%の利益を稼ぎだすような八百屋さんまでいらっしゃるとか。

 なぜあの八百屋は繁盛しているのか?

 本日はその理由を紐解いてみたいと思います。

スポンサーリンク

昔ながらの姿でいる八百屋が潰れぬ4つの理由

1)徹底的な立地へのこだわりと低コスト運営

 「えぁあ〜、あらっしゃい!いらっしゃい!」と元気よく叫んではっちゃける八百屋のおっちゃん、実は彼、賃貸不動産を見立てる究極のプロフェッショナルでもあります。

 店を出店する際は、道路の流れ、人が溢れる時間帯、持っている荷物の加重平均、住民の平均年齢層、年収、飲食店を含めたライバルの動向などあらゆる情報を入念に調査し、出店を決めます。

 また狙った不動産を借りる際も徹底的にコストを抑えられるよう、不動産屋さんと交渉します。

 通常の企業は、売上に占めるオフィス家賃が10%前後のところ、儲かっている八百屋さんは売上に対する家賃比率を3%以内に押さえているケースが多いです。

 お店に飾りっけがないのも、ワザと狙って「お買い得感を演出し運営コストも同時に下げている」のが理由だったりします。

2)大投資家ソロス並の相場観で利益を出す商品を仕入れている

 殆どの八百屋さんは、お店に並べる商品を特定の市場で毎朝仕入れます。

 バッジ(買参権)を持っている八百屋さんは、朝7時頃から始まる競売(セリ)にも毎日参加します。

 野菜や果物には相場が存在し、価格は日毎に株式と同じような激しい値動きとなるため、その値動きを相場師のように掴む必要があるのからです。

 スーパーのように「いつでもほうれん草を置かないとダメ」という企業的なスタイルでいると、損してでも高い商品を買う必要があります。

 対して、賢い八百屋さんは高騰した野菜は絶対に仕入れず、安く仕入れられるモノだけで、その日のお買い得感溢れるお店を作ります。

 また「悩みモノ」と呼ばれる、市場で売れていない商品を上手に見つける目利きの八百屋さんは、タダ同然の価格で商品を仕入れて、お買い得価格を演出して販売し、粗利が50%…中には売上の中身がほぼ利益という構図を作っている場合があります。

 「奥さんまけとくよ!」「今日も大赤字だけどやっちゃうよ!」と気さくに話しかけてくる八百屋のおっちゃんは、村上ファンドやジョージ・ソロス並のポジショントークを繰り広げる相場師であり、確実な勝ち戦を仕入先と消費者の間で仕掛けているのです。

3)現金商売が基本でキャッシュに困らない

 読者の皆様がもし八百屋さんへ行かれた経験がある場合、殆どの方が現金で野菜や果物を買われたことと思います。

 中には顧客のニーズに応えてカード払いの選択肢がある八百屋さんも存在するかもしれませんが、利益を出している八百屋さんのほとんどが現金商売を未だに続けているはずです。

 なぜなら売上と同時に現金が入る状態で、経費(包装物・車やレジのリース・従業員の給料)の支払いを月末に持っていけば、キャッシュフローにゆとりを持てるからです。

 市場で仕入れた商品は、仕入れから4日以内に市場へ支払いを起こす必要がありますが、中には産地と直接契約し支払いに猶予を持つ強者の八百屋さんも存在しています。

4)飲食店との取引で安定的な収入

 「ボロボロな佇まいで人もそんなに入ってないのに、あの八百屋まだ潰れないのか!」というような八百屋さんを皆さんはたまに見かけませんか?

 実はそのような八百屋さんは、地域に住む個人客よりも周りの飲食店さんへの野菜や果物の卸に力を入れて、がっちり儲けている可能性があります。

 業界用語で「納め屋」と呼ばれる八百屋さんは、予め自分が配達に行ける範囲の飲食店へ営業をかけて馴染みになり、日ごとに必要な食材を店舗へ配達しています。

 「法人取引で卸だと利益薄いのでは?」と考えられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はお店で販売するよりも利益が出ている場合が多いのです。

 なぜなら、人参1本・じゃがいも3個・ネギ20本といった、細かなニーズに応えて、なおかつ配達までしてあげる分、忙しい飲食店の場合は、仕入れにかける時間とコストを価格にオンされても、納め屋を利用するほうが良かったりするのです。

 利益率は通常の個人客相手で粗利が25〜30%のところ、更に5〜10%アップで納めている場合が多いようです。

 「◯◯ホテルの3万円ディナーとろけたわ〜」なんて言ってるそこの飾った彼女!その玉ねぎは八百屋のおっちゃんが、きちんと品定めして高級ホテルに毎日届けている食材だったりするんです。

 ということで、個人客もある程度存在して、納め屋としても飲食店を複数抱えていれば、かなり高収益体質の八百屋さんを営んでいると言えるでしょう。

スポンサーリンク

新規出店は博打の側面もあり早期の判断が必要

 いかがだったでしょうか?

 昔ながらの佇まいを残す八百屋さんが利益を出せる理由は、徹底された調査を元に、運営コストを極限まで節約し、入金は早く・出金は遅く、安定した売上・利益の出元を捕まえることにあります。

 利益を出している八百屋さんは、ビジネスの基本をしっかり抑えたビジネスマン集団なのです。

 彼らの特徴をもう一つ上げるとすれば、「利益を上げている人ほど店の引き上げ(退却)も迷いなく早い」ことがあげられます。

 優秀な八百屋さんの経営者は新規に出店した店舗がうまくいかないと感じた場合、退却の決断を、開店して3日以内、人によっては開店当日に決めます。

 店構えにほとんどお金をかけず、不動産の賃貸借契約の条件も「家賃を試しに1ヶ月だけ支払う。うまく行けば正式契約とする」という条件にするなど、退却の準備を出店前に彼らは行っているのです。

 そうすることで通常の飲食店やスーパー・コンビニには真似できない迅速な決断を行い、次の出店へリソースをつなぐことを彼らは可能にしています。

 ビジネスの流行りはインターネットをはじめとするテクノロジーに目が移ろいやすくなっていますが、私達の身近にアナログでも利益を出している人は沢山おり、彼らから学べることは多いはずです。

 その代表例の1つが、八百屋さんだったりします。

 もしよろしければお近くの八百屋さんへ寄ってみてください。

 今までと少しだけ、あの「えぁあ〜、あらっしゃい!いらっしゃい!」と元気よく叫ぶおっちゃん達の見え方が変わるかもしれません。

節約
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
編集部

起業、経営を応援するWEBマガジン編集部です。

編集部をフォローする
節約社長