日本の軽減税率導入に関する論争で望まれること

節税

 消費税8%から10%への増税まで2年を切り、いよいよ待ったなしの状態です。消費税が持つ逆進性を防ぐための措置として、軽減税率の導入に関する論争は益々ヒートアップしていますが、中にはポジショントークと見られる意見を提出する政党もあります。ヨーロッパの例を通じて国民のためにモラルの高い議論がなされるべきでしょう。

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加工食品に軽減税率が導入される議論が発生

 財務省は自民・公明両党に対して、食品の軽減税率導入にあたり生鮮食品よりも加工食品のほうが、軽減税率導入により低所得層に対する税負担が重くなる「逆進性」を和らげるという調査結果を報告しました。

 かいつまんで言うと生鮮食品は「お金持ちの買うものであり単体で税率を下げても逆進性(低所得者への負担)が大きい」というのが今回の調査結果が主張するところになります。

 確かに生鮮食品は出来高による価格変動が大きいのに対して、加工食品は比較的値段が安定しているため調査結果はある程度的を得たものと言えるでしょう。

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海外で軽減税率導入はどう判断されている?

 海外では多くの国で軽減税率が導入されていますが、それぞれの内容を見ると各国ごとのお国事情が良く理解できます。

 例えばフランスでは同じ高級珍味であってもキャビアに19.5%の税が課せられているにも関わらず、フォアグラやトリュフには軽減税率が適用されて5.5%しか税金がかけられていません。

 なぜならキャビアは海外からの輸入品であるのに対して、国産のフォアグラやトリュフを守りたいフランスならではのお国事情があるからです。

 イギリスでは外気温よりも高い温度に温めた商品には付加価値税の標準となる20%の税率が課せられ、デリカテッセン(お惣菜)の場合は軽減税率が適用されて税金を支払う必要がありません。

 しかしこれらの国に住む人達から聞こえてくるのは、軽減税率の導入が非常に不公平で、不効率な状態を生んでいるというバッシングの声でり、軽減税率の廃止論や法的処理に絡む行政コストも各国で問題となっています。

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軽減税率問題でポジショントークするなかれ

 消費税の8%から10%へのアップが、2017年4月に向けて待ったなしの状態と迫っています。今後日本国内では、軽減税率に関する論争が益々ヒートアップすることでしょう。

 名指しこそしませんが政党によっては、利権に絡んだ特定分野への軽減税率誘導とも取れる主張を繰り広げているケースが見られます。

 消費税は累進課税ではなく、国民全員が負担し低所得者ほど影響を受ける逆進課税であるため、真に国民の実情と利益を鑑みた公平性を持って制度導入が話し合われるべきです。

 政治の世界が高度なモラルを以って、軽減税率の議論を展開することを願ってやみません。

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