マイホームの売却により発生した利益を非課税にする方法

資産運用
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マイホームの売却益は、誰でも税金がかかる

 マイホーム購入は多くの人にとって人生最大の買い物です。

 金額も何千万円という単位になるので、そうそう何度も購入する方はいませんが、「子どもが大きくなったので一戸建てを買いたい」「親と同居するので今のマンションを売る」などの理由で、現在所有している不動産を売却することは決して珍しいことではありません。

 新築にしろ中古にしろ、住宅に何年も住めば古くなっていくわけですから、「購入金額」>「売却金額」となるケースが多いです。しかし「人気上昇中のエリア」「大きな開発が見込まれる」「市場が好況」などといった場合、「購入金額」<「売却金額」となり、売却「益」が発生することもあります。

 つまり、「自宅を売ったら儲かった」という場合です。何かを「売って儲かった」場合、わが国ではそれが株だろうが骨とう品だろうが自宅だろうが、基本的には課税されます。

 ここ数年、首都圏や近畿圏を中心に不動産は活況です。儲けるつもりはなくても、売却益が出てしまうこともありますので、自宅の売却を検討している方は、「自宅の売却益」にかかる税金について理解しておきましょう。

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譲渡所得は源泉分離課税

 見出しでお伝えした「譲渡所得は源泉分離課税」は、簡単に言うと住宅の売却益は、給与等をもとに計算する所得税とは別に、譲渡所得として計算される、ということです。

 サラリーマンは給与が高ければ高いほど税率があがる累進課税方式ですが、自宅の売却益はそれとは全く関係なく、個別に計算します。

 つまり年収2,000万円でも年収400万円でも、同じ売却益(譲渡所得)が出たら同額の税金がかかります。

 ちなみに、譲渡所得にかかる税金の計算式はこちら。※

  • 税額=譲渡所得(譲渡価額-取得費-売却費)×税率

 譲渡価額:売却した金額です。ちなみに個人での売却なので消費税は受け取りません。

 取得費:購入した時の金額です。また購入した時の登録免許税や登記費用、仲介手数料などの諸費用も含みます。建物の経年劣化ぶんである、減価償却費は差し引く必要があります。

 売却費:売却時の仲介手数料、や測量費・解体費・整地費などの諸費用です。

 税率:39%/20%/14%※後述します

 税額:所得税、住民税、復興特別所得税の合計額です。

 とても簡単に言うと、「売ったときの額-買ったときの額-売ったとき・買ったときの費用」に税率をかけて求めます。

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長く住んでいれば税率が低い

 長く住んでいた方(=より儲けを意識していなかっただろう方)は特に優遇されます。

 所有期間による税率の違いは、

  • 5年以下:39%(所得税30%+住民税9%)
  • 5年超 :20%(所得税15%+住民税5%)
  • 10年超 :14%(所得税10%・住民税4%)

 ただし10年超でも譲渡所得(売った儲け)が6,000万円を超えた場合、超えた部分の税率は20%(所得税15%+住民税5%)+600万円です。

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3,000万円までなら儲かっても非課税

 これが最もインパクトの大きい優遇だと思います。自宅を売却した場合、譲渡所得から3,000万円を引く特別控除が適用されます。しかもこの控除は所有期間を問いません。

 例えば、

  • 譲渡価額:6,000万円、取得費+売買時の諸費用合計4,000万円、所有期間10年超

 の場合、自宅以外の不動産なら本来譲渡所得は2,000万円。2,000万円×14%=280万円となりますが、特別控除が適用されれば6,000万円-2,000万円-3,000万円=▲1,000万円となり非課税となります。

 よほどでないと3,000万円以上の利益が出ることはないでしょう。一般的な住宅で売却益が出ても、ほぼ非課税と覚えておいて構わないと思います。

 ちなみに、3,000万円の特別控除は、その年の住宅ローン控除とは併用できないので、うっかり年末調整してしまうと、控除が受けられません。

 この控除を受けるための期間の条件に 「住まなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日まで」とあります。

 つまり、住まなくなってから3年後の年末までに売却しないと、控除を受けられません。 「値上がりするまで待ってよう」と言っているうちに経過しないよう気を付けましょう。

  また建物を解体した場合は、取り壊しから1年以内という条件が加わります。3年以内に土地を売却しても、建物解体から1年を超えていたらNGです。

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いくらで買ったか不明な場合は?

 「祖父の代からの古い物件を相続した」という場合などで、当時いくらで買った/建てたか分からないというケースもあります。その場合の取得費は、売った金額の5%とされます。

 4,000万円で売れた土地建物の取得費が分からなかった場合は、200万円です。

 「この一等地で200万円ってことはないでしょ!」と言っても、取得費が分からなければ200万円のままです。

 4,000万円-200万円-3,000万円=1,800万円となり、特別控除を受けたとしても課税対象となります。

 ちなみに相続で取得した場合、所有期間も引き継ぎます。祖父→親→自分を合わせた所有期間の税率で計算します。

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売却「損」が出たら、3年間所得税が安くなる(かも)

 さて、これまで売却して利益が出た場合の税金に関して述べてきましたが、そうは言ってもやはり売却して損失が出るケースのほうが、圧倒的に多いのではないでしょうか。

 この場合、一定の条件を満たすことによって所得税が軽減されることがあります。

 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、自宅の譲渡損をその年の所得から差し引くことができ、また引ききれなかった場合は翌年から3年間の所得からも繰り越して引くことができる、という特例です。

 ただしこの特例を受けるためには、いくつもの条件があります。

  • 「買い替え」のための売却であること
  • 譲渡する住宅は5年を超えて所有していること
  • 現在住んでいる、または住まなくなってから3年目の年末までに譲渡すること

 他にも買い替え物件定義や住宅ローン条件、震災の場合の優遇など多数ありますので、確認してみてください。

 参考リンク:国税庁ウェブサイト

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確定申告が必要

 そもそも自宅というものは、言ってしまえば「最大の生活必需品」。例え売って儲かったとはいえ、儲けが目的ではないので、様々な優遇(控除や軽減税率)が認められています。損失もしかりです。

 ただし、これらの控除や優遇、特例などを受けるときは、基本的に確定申告が必要になります。住宅を取得して住宅ローン控除を受けた時は「慣れない確定申告に苦戦した」という方もいるかと思います。

 「またか…」「面倒くさい」と先送りにせず、早めに取り組みたいですね。

※今回は計算をシンプルにするため復興特別所得税は考慮しません。実際は2037年まで、所得税額に対し、2.1%加算されます

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赤井雅

株式会社アセットリンクマネジメンツ
取締役 赤井 雅

1977年生まれ
福島県福島市出身
中央大学商学部卒

〇個人・法人向けファイナンシャルプランニング、リスクマネジメント
〇生命保険・損害保険代理業
〇各種専門家と連携した相続対策
〇住宅ローン取次代理業

こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の赤井です。
国内ではなかなか認知度の低いFPという仕事ですが、欧米では「不動産」「保険」「運用」などの大きなお金が動くときにFPに相談するのは当たり前。

「不動産業者」「保険業者」「証券業者/銀行」などのプロに負けないノンプロを育てる、を理念に掲げて活動しています。

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