アシアナ航空の事故トラブル処理を反面教師にする

企業分析

 4月14日夜、広島空港において、韓国の航空会社アシアナ航空の飛行機が着陸失敗の大事故を起こした。その後報じられたパイロットの不在、社長ではなく副社長による謝罪は、批判の火に油を注ぐこととなった。過去にも経営を揺るがす大きな問題から逃亡した経営者は多々いるが、筋を通さなければ二度と表舞台に出ることができないのが共通した事実である。

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アシアナ航空事故 トップはどこへいった?

 4月14日夜、広島空港において、韓国の航空会社アシアナ航空の飛行機が着陸失敗の大事故を起こした。乗員乗客から50名以上の負傷者が出た上に、夜が明けて見えた機体は大きく損傷していた。

 この事件が今注目されている理由の1つは、朝日新聞が事故機を操縦していたパイロットの所在が、事故直後に不明と報じたことに起因する。

 事故の原因は、手動で高度を下げる操縦により、機体が低下しすぎ障害物に衝突した人為的なミスが原因とみられているため、機長が雲隠れしているように世間がみなしてしまったのだ。

 それにくわえてパイロット本人に対して会社の事情聴取も進んでおらず、更に謝罪会見では、社長ではなく副社長が謝罪に応じたことで、再度批判が集まっている。

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雲隠れしたと認定されてしまった過去の例

 大きな事件を起こして、問題が解決しないうちに、責任者が雲隠れしてしまった過去の代表的な事例は以下のとおりだ。

【東京電力トップ】勝俣恒久元会長・清水正孝前社長

 現在も福島原発内では原子炉内部の調査を進めており、放射能の影響のため人間は入れず、先日報道されたように2機目のロボットが投入されている。日々漏れ続ける放射能により多くの住民が不安な毎日を過ごす中、事故当時トップに君臨していた会長と社長は、人知れず東京電力を去った。勝俣恒久元会長、清水正孝前社長はともに現在家族とともに海外へ在住、東電と結びつきの強い会社の社外取締役におさまり、収入を確保している。

【セ・ウォル号の実質オーナー】兪炳彦(ユ・ビョンオン)氏

 昨年4月に起きた韓国の旅客船セ・ウォル号の沈没にあたり、乗客よりも我先にと救出されていた船長。この船長は死刑を求刑されたが、裁判により法定最高刑の懲役36年で収監されている。セ・ウォル号を運行する海運会社の実質的なオーナーとされる兪前会長は、早い段階で出国禁止令や逮捕状が出ていたものの逃亡。懸賞金をかけ大幅な捜査が行われたが、昨年7月に遺体となって発見された。

【スイスの銀行大手UBS】ラウール・ワイル元会長

 40代後半という若さで大手銀行の会長に君臨していたラウール・ワイルは、アメリカの富裕層2万人に対して資産隠しや脱税のほう助を行った罪として起訴された。他の容疑者は裁判所へ出頭したものの、彼は出頭せず海外へ逃亡した。その後イタリアで身柄を拘束されたが、裁判の結果、無罪が確定している。

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一度逃げると表舞台には出にくくなる

 問題が起きた後、そこから逃れることは一番楽な方法である。命が危うければ逃げるが勝ちの場合もある。

 ただし会社の運命を左右する問題や責任から逃げた後は、表舞台で二度と活躍できなくなってしまう。

 大きな問題が起きた時こそ、トップ自ら前に立ち責任を明確にし謝罪を行うことが、会社の長期的な信用へつながることを肝に銘じたい。

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