スカイマーク上場廃止 民事再生で上場維持した会社はある?

資産運用

 先週末2月27日(金)スカイマークの株式が東証一部・上場廃止により、最終取引日を迎えた。スカイマーク同様に債務超過に陥りながらも、民事再生と上場維持をやってのけたプロパストのように、デッドエクイティスワップ(債務と資本を交換する仕組み/債務の株式化)をスカイマークはなぜ利用できなかったのだろうか?理由を探る。

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スカイマークは上場廃止 民事再生へ向かう

 先週末2月27日(金)スカイマークの株式が東証一部・上場廃止により、最終取引日を迎えた。終値は、前日比12円安の14円となった。

 総額710億円を超える負債を抱え、1月28日(水)民事再生法の適用を申請した時点で317円だったスカイマークの株価は、その後2日連続ストップ安、値幅制限がなくなった2月2日(月)に32円で寄り付いた。

 ただし2月17日(火)に株価は最安値の10円から一挙に40円へ上昇した。共同通信による「オリックスの出資も視野に入れた支援が検討されている」旨の報道があったからだ。

 これだけの大型株が、上場廃止前に数倍の値上がりを見せるのは、2003年の「足利銀行」経営破綻時に、株価が1円から25円へ値上がりして以来のことである。何らかの期待があったのは間違えない。

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民事再生の場合は絶対に上場廃止が義務?

 民事再生法の意義は、会社が破産しそうであっても、消滅することが決定したわけではない場合に、事業再生を前提として認められる。

 民事再生法を申請するなら上場廃止は必須条件となるのだろうか?

 実は、上場廃止は必須条件ではない。

 スカイマーク同様に債務超過に陥りながらも、民事再生と上場維持をやってのけた会社が一つだけある。

 不動産ディベロッパーのプロパスト社(2006年JASDAQ上場)だ。

 プロパストは、2008年のリーマン・ショック以降に起きたマンション市況の低迷により、収益が悪化して資金繰りに行き詰まった。 2010年に534億円にも及ぶ債務超過に陥り、民事再生法の適用を申請した。

 しかし同社は、債権者である金融機関45社の過半から民事再生計画について同意を得た上で、第三者割当増資を行い手元に資金を用意し、「有価証券上場規程」に基づき、時価総額維持の条件(5億円以上)、一年以内の債務解消の見通しを建てることで、特例措置を許可され上場を維持した。※1

 その後、同社は10月に既存株主とのデットエクイティスワップ行使や債務免除により債務を大幅に圧縮し、11月末の中間決算では債務超過を解消し上場を維持基準を満たし、今に至る。

 キモとなったのがデッドエクイティスワップ(債務と資本を交換する仕組み/債務の株式化:以下、DES)である。

 DESは、債務者にとっては、返す必要のない資本(株式)へ債務(借金)を変換できるメリットがあり、債権者は、債権を全面的に放棄せず、その一部を資本(株式)へ交換することで、再建計画が成功し上場が維持できれば、キャピタルゲインや配当収入を得ることが期待できる制度だ。

 プロパストの場合は、50億円超に及ぶ法人税還付金が予定され、滞納していた法人税支払いを終えても債権者へ一部の債務支払ができたこと、豊富な棚卸資産があることによる売却益が見込めたこと、将来の収益を得る差別化要因が社内でノウハウとしてあったこと、がDES行使の追い風となった。

 様々な障壁を乗り越えて現在の上場維持を実現、100%減資が防がれた。

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スカイマークはDESを利用できなかった?

 スカイマークも、DESについては散々利用することを検討したであろう。

 しかし、本業自体も2月12日発表の平成27年第三四半期決算では、営業利益112億9千万の赤字、純利益に至っては136億の大赤字となり、再生計画すら見通しが立てにくい状態である。債務の710億円にも、エアバス社との間で発生した7億ドル(約840円)に及ぶ違約金が含まれない。

 100%の減資により株券が紙切れになった後、ようやくミソギを済ませ民事再生法の認可に向けた動きが始められるというのが、現在の状況だ。

※1 プロパスト「民事再生手続開始の申立て及び再建計画の提示並びに時価総額審査の開始に関するお知らせ 」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=799091

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