事業承継のパターンを紹介!「親族内承継」「親族外承継」「M&A」のメリット・デメリットとは?

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事業承継とは、文字どおり事業を承継することで、現在の経営者から後継者となる人間に、「社長のイス(経営に必要なもの)」と「自社株(会社支配に必要なもの)」を引き継ぐことを言います。

本稿では、「親族内承継」「親族外承継」「M&A」という、3つの代表的な事業承継パターンのメリットとデメリットを詳しくご紹介します。

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事業承継のパターンは誰に引き継ぐかで決まる

事業承継とは、文字どおり事業を承継することで、現在の経営者から後継者となる人間に、「社長のイス(経営に必要なもの)」と「自社株(会社支配に必要なもの)」を引き継ぐことを言います。

事業承継には様々な種類や手法、考え方がありますが、行う前には周囲の環境を十分考慮し、将来の大きな方向性を考える必要があります。

事業承継する(できる)ことは、会社が存続することを意味し、社員達を養い、地域に貢献する、公器としての側面も既にあるはずだからです。

そこで今回は、事業承継の主な方法と、それぞれの方法を選択する際に生じるメリット・デメリットについてご紹介しましょう。

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事業承継パターン1:親族内承継のメリット・デメリット

「親族内承継」とは、現経営者の子供、妻、兄弟姉妹等の親族に対して事業承継させるパターンを指します。

かつては事業承継といえば親族内での承継がほとんどでしたが、近年では4~6割ぐらいまで減少しているとも言われています。

この傾向は、現経営者の在任期間が短くなるほど顕著となっております。

メリット、デメリットは以下の通りです。

親族内承継のメリット

まず、他の方法と比べて、従業員や取引先などから心情的に受け入れられやすいのが、親族内の事業承継におけるメリットです。

たしかに昨今では能力主義が重要視されていますが、それでも小さな頃から経営者の姿を見てきた子供や親族の感性、血筋、教育過程は評価されやすいのが現実です。

後継者を早期に決定することにより、後継者教育等の準備期間を長期に確保することが可能ですし、相続等により自社株や事業用資産を後継者へ移転できるため、他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高いのもポイントです。

また、承継方法として、売買や贈与、相続税制の利用も選択することができ、承継方法の選択の幅が広い。

親族内承継のデメリット

親族内で事業承継を行う場合、経営の資質と意欲を併せ持つ後継者候補の存在が必要です。

古来より歴史を見ても、愚者の収める組織はいずれも崩壊しており、たとえ血筋が後継者として正当でも、その資質や意欲が乏しければ、そのような組織は必ず崩れ去ります。会社はなおさらです。

また、相続人が複数いる場合、会社の株を中心とした財産の争いが生じやすく、後継者の決定・経営権の集中が難しい場合があります。

従って、承継を円滑に行うためには、ある程度時間をかけなければならない。

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事業承継パターン2:親族外承継のメリット・デメリット

「親族外承継」とは、従業員等の親族以外の人材に事業を承継するパターンを指します。

社内へ承継する場合には副社長や専務等の役員や若手経営陣が、社外へ承継する場合には取引先や金融機関から招聘した人物が後継者となる場合が考えられます。

なお、将来の子供等への承継の中継ぎとして、従業員へ一時的に承継する場合も、親族外の事業承継と考えられます。

親族外承継のメリット

親族外の事業承継を行うメリットは、親族内に適当な後継者がいない場合でも、会社内外から広く後継候補者を求めることができることです。

社内で長期間勤務している役職員に承継する場合は、業務内容や業界事情について熟知しており、また、経営理念や企業文化も理解しているため経営の一体性を保ちやすい点もメリットとなるでしょう。

親族外承継のデメリット

一方で、親族内承継の場合以上に、後継者候補が経営への強い意志を有していることが重要となるが、適任者がいないおそれがあります。

特に、社内スタッフに適任者を探している場合に、営業としてはまずまずでも全体を見て組織をマネジメントする能力が無い、というパターンが多くみられます。

また、後継者候補に株式取得等の資金力がない場合が多いですし、親族内承継に比べて、現経営者の会社債務に対する個人保証の引継ぎが金融機関の理解を得にくい点もデメリットと言えるでしょう。

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事業承継パターン3:M&Aのメリット・デメリット

「M&A」とは、自社株あるいは自社事業を他社への売却するパターンを指します。

一昔前まではM&Aと言えば「乗っ取り」や「家業を売ってしまい祖先に申し訳ない」などの暗いイメージでしたが、最近はM&Aがポピュラーな方法になりました。

M&Aのメリット

M&Aによる事業承継のメリットは、身近に適任な後継者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができることです。

また、現経営者が会社売却の利益を獲得できるため、「ハッピーリタイアメント」も夢ではありません。

通常、事業買収に応じる会社は、事業意欲旺盛なケースが多いため、そのように勢いのある会社と協業することで、自社も相互作用で発展する可能性があります。

M&Aのデメリット

ただし、M&Aによる事業承継にはデメリットも存在します。

まず、希望の条件(従業員の雇用、価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難です。

また、全く赤の他人である第三者がお金を出して全ての経営権を手に入れるため、経営の一体性を保つのが難しい場合もあります。

うまく吸収してもらわねば、社風や組織、ルールの大幅な変更に難色を示す社員が離脱することも考えられます。

また、「ハッピーリタイアメント」を果たしたものの、現経営者がリタイア後にやりがいを失ったり、会社を手放すことによる喪失感を抱くケースも多々あります。

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事業承継のパターンを把握し元気なうちに検討しよう

以上、事業承継における「親族内承継」「親族外承継」「M&A」という、3つの代表的なパターンのメリットとデメリットをご紹介しました。

どの手法が一番良い、などということはなく、各社のおかれた状況により選択肢は全く変わります。

事業承継の検討をしなければならないと思いつつ、先送りにしている経営者の方々は非常に多いと思います。

1つだけ言えることは、幾ら今は元気な経営者であっても、やがて引退する日が絶対にやってくるということです。

事業承継の方法検討から実行までには、相当の期間を要しますので、5年後、10年後の事業承継のために今から準備していきましょう。

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株式会社C Cubeコンサルティング/税理士法人C Cube
代表取締役/代表税理士 清水 努
昭和41年(1966年)10月28日生まれ(ひのえうま)

C Cube(シーキューブ)は銀座に創業20年の実績を持つ経営コンサルティングが強みの
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