製薬会社が企業買収によって巨大になろうとする2つの理由

企業分析

 製薬大手の英・アストラゼネカが、こちらも日本の製薬大手である第一三共に買収提案をしていると報道されています。世界のメガファーマ(巨大製薬企業)は今、M&Aによりどんどん巨大化しています。なぜ彼らはあくまでも会社の巨大化を目指すのでしょうか?そこには2つの理由があります。

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英国アストラゼネカが国内製薬大手の第一三共に買収提案

 製薬大手の英・アストラゼネカが、こちらも日本の製薬大手である第一三共に買収提案をしていると報道されています。

 参考リンク:[特報]英アストラゼネカ、第一三共に買収提案:日経ビジネス

 日本の製薬会社と言えば、武田薬品、アステラス製薬、そして今回の第一三共の3社が大手です。

 ただし、その規模は世界のメガファーマ(巨大製薬企業)と呼ばれるファイザー(米国)、ロシュ(スイス)と比較すれば、1/5〜1/10程度しかありません。

 海外のメガファーマはM&Aによりどんどん巨大化しています。

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製薬会社がM&Aにより巨大になろうとする2つの理由

 製薬会社が巨大化を目指すのには明確な2つの理由があります。

 まず1つ目に特許期間の問題を上げられます。

 当然、薬品にも特許期間があり、特に大型製品の特許切れがあると、製薬メーカーは売上を大きく減らすリスクを有しています。

 この売上減を防ぐために、製薬会社は常に新薬を開発しつづける必要があります。

 ただし、これにも多額の研究開発費がかかります。

 従って、どうしても多くの製品を持ち、研究開発を続けられるだけの体力(資金力・人材・資源)が必要となります。

 その結果、M&Aを通した合従連衡が進んでおり、また今後もそれが続くと想定されています。

 これがM&Aにより巨大化を目指す2つ目の理由です。

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ジェネリックメーカーはなおさらM&Aの波にさらされる

 メガファーマと呼ばれる海外の製薬会社だけでなく、日本国内の製薬大手も例外ではありません。

 またジェネリックメーカーはまだまだ小規模の企業も多く、こちらは研究開発費はそれほどでもないにせよ、大規模の設備投資をし、良いものを安く提供しなければなりません。

 一方で薬品は許認可も厳しく、簡単に人件費の安い海外で生産もできません。

 よって、国内生産の依存度も高く、より価格競争力が必要になってきます。

 その際には規模がものをいうため、国内においてもジェネリックメーカーの合従連衡も今後、激しく起きてくるはずです。

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大原達朗

一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事・アルテパートナーズ株式会社代表取締役として、M&Aを手掛ける公認会計士です。

BBT大学、法政大学院イノベーションマネジメント科の教員も兼任しております。

大企業だけではなく中小企業にとっても、ユーザーフレンドリーな会計業界を、世界中に広めることが目標です。

M&Aの悩み(会社や事業を売りたい/会社や事業を買いたい/小規模M&A投資を検討している)があれば、お気軽にお問い合わせください。

運営サイト:
経営者のための実践ファイナンス

【現職】
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事
アルテ監査法人代表社員
アルテパートナーズ株式会社代表取締役
日本マニュファクチャリングサービス株式会社監査役
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師
ビジネス・ブレークスルー大学大学院准教授
ビジネス・ブレークスルー大学准教授
PT. SAKURA MITRA PERDANA Director

【職歴】
1998年10月 青山監査法人プライスウオーターハウス入所
2004年1月 大原公認会計士事務所開設
2004年6月 株式会社さくらや 監査役
2006年1月 株式会社ライトワークス リスクコンサルティング部ディレクター
2007年4月 ビジネス・ブレークスルー大学大学院講師
2008年4月 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師(現任)
2008年4月 アルテ公認会計士共同事務所開設 代表パートナー
2008年6月 日本マニュファクチャリングサービス株式会社 監査役(現任)
2009年4月 アルテパートナーズ株式会社設立 代表取締役(現任)
2010年7月 アルテ監査法人設立代表社員(現任)
2010年8月 日本M&Aアドバイザー協会 理事
2014年10月 日本M&Aアドバイザー協会 代表理事(現任)
2016年4月 ビジネス・ブレークスルー大学准教授(現任)

【所属団体】
日本公認会計士協会、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)、日本税理士会、日本CFO協会

【資格】
公認会計士、税理士、 JMAA認定M&Aアドバイザー (CMA)

【その他】
ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA/経営管理修士(専門職) 日本CFO協会主任研究員(2006年)

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