ドンキホーテがユニーの株式取得を40%に留めることで生じる2つの効果

ドンキホーテがユニーの株を取得〜なぜ40%?

 8月24日(木)、総合スーパー(GMS)を運営するユニーの株式40%を、ディスカウントストアを運営するドン・キホーテが取得することが発表されました。

 ユニーはこれまで、ユニー・ファミリーマートHD傘下の100%子会社でしたが、今回の資本提携によって株主構成比率は、

  • ユニー・ファミリーマートHD:60%
  • ドンキホーテ:40%

 という形になります。

 さて、下記の記事で関係者の話を追うと、今回の買収がユニーにとって渡りに船だったことがわかります。

 参考URL:驚安ドンキが苦境の「ユニー」に入り込むワケ

 相手が乗り気ならば、ドンキホーテは過半数の株式を取得することも可能だったかもしれません。

 ドンキホーテが株式取得比率を40%に留めたことに、どんな意図を読み取れるか考えてみましょう。

株式を40%持つことにはどれくらいの効果があるか?

 まず最初に考えたいのが、「株式を40%持つことにはどれくらいの効果があるか?」ということです。

 会社法に定める株主の決議事項は、一般的なものとしては普通決議と特別決議の2種類があります。

 定款に定めが無い場合、普通決議と特別決議の要件は以下の通りです。

  • ・普通決議事項は全議決権の過半数を定足数とし、出席株主の議決権の過半数により決議する。
  • ・特別決議事項は全議決権の過半数を定足数とし、出席株主の議決権の3分の2以上により決議する。

 それぞれについて、詳細を見ていきましょう。

普通決議事項

 普通決議事項はザックリ言うと、日常的に決議を必要とする事項です。

 経営の大勢に影響を与える案件より、現場の数字を見ながら足し算引き算で考える案件が多いのが特徴です。

 以下が、普通決議で決める項目の代表例です。

  • ・計算書類の承認
  • ・役員の報酬決定
  • ・準備金の額、剰余金の額の減少
  • ・剰余金の処分、配当
  • ・役員等の利益相反取引の承認

 ここまでは、ユニー・ファミリーマートHDが60%の株を持ってますから、単体で意思決定を行うことが可能です。

特別決議事項

 対して、特別決議事項を一言でザックリ言うと、非日常的で経営を大きく左右するような事項です。

 以下が、特別決議で決める項目の代表例です。

  • ・定款の変更
  • ・重要な事業の譲渡
  • ・解散
  • ・資本金の額の減少(欠損填補以外)
  • ・組織再編に関する決議

 見ていただければわかりますが、原資、解散、事業の譲渡(M&A)などは、お金の足し算引き算だけで考えることが出来ない案件です。

 数年先、数十年先の会社の方針、現在の組織体型や人員の配置、潜在的な事業の可能性まで含めて、株主と経営陣レベルが腹を割って判断しなければなりません。

 今回の事例に当てはめると、ユニー・ファミリーマートHDは60%の株しか持っておらず、議決権の3分の2以上がなければ特別決議事項は可決しないため、単体でこれを行なえません。

 つまり、ドン・キホーテが株式の40%を所有する法律的な意味は、会社の「特別決議事項」を他の株主のみで決議されないことにあります。

 過半数を取っていませんが、ドン・キホーテは今後、ユニーの経営方針に対して極めて大きな影響力を持つことになるのです。

ドン・キホーテが過半数の株を持たないことで生まれる2つ目の効果

 ユニーの経営方針に対して大きな影響力を持ったドン・キホーテですが、40%の株式取得に留めたことにはもう1つの効果があります。

 それは、株式取得を40%に留めることで、あくまで敵対的な買収ではなく、友好的な資本業務提携であることが印象つけられるということです。

 ユニーは東海地方で大きな影響力を保有しており、ドン・キホーテもユニーの持つ膨大な店舗を活用するにあたり、消費者に対しても、既存の従業員に対しても、友好的な形で入っていきたい部分があります。

 また、特別決議を阻止できる株数を所有している点で、お互いがリスクを取る運命共同体であると主張することもできます。

 これまでもドン・キホーテは、長崎屋、ドイト、ビッグワンといった小売店を吸収合併し、その規模を拡大してきました。

 潜在的にドン・キホーテによる買収・資本提携予備軍はまだあるでしょうから、これらの相手に対して、「このような再生の形もある」と伝える、間接的なアナウンス効果も生まれます。

 これらの要素を踏まえると、ドン・キホーテがユニーの株式取得を40%に留めたことは、最初の入口として非常に巧者な取組をしたと考えることができます。

Photo credit: shibainu via Visualhunt.com / CC BY

企業分析
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平成27年1月 山田典正税理士事務所として独立。独立後も、補助金支援において創業補助金採択、ものづくり補助金採択の実績を有し、生産性向上設備投資促進税制の申請支援、資金調達支援、事業承継支援、上場企業の税務顧問等、多数の実績を有する。

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