インバウンド消費はエデュテイメントで勝ち取れ

経済

 政府が10年前より行っているビジット・ジャパン・キャンペーンは成功を収め、海外のインバウンド消費は伸び続けている。かたや日本人の考える観光施設と、外国人の求める観光施設には乖離が生じ始めている。日本文化を遊びながら学べたり体験できる場所は、まだまだ少ないため、ニーズに合わせてそれらのサービスや施設を更に開発する必要がある。

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日本の観光はまだ外国人を満足させてない

 昨年、日本を訪れた海外からの観光客は1300万人を突破し、外国人旅行消費額は年間で2兆305億円に達した。※1

 政府が10年前より行っているビジット・ジャパン・キャンペーンが成功を収めたと言えるが、それは各地の観光施設が努力をしている下支えがあってのことだ。

 しかし、海外からの観光客すべてが日本に満足しているわけではなさそうだ。時には、面白みが欠けるという話も聞く。

 将来的に日本の人口は減り続けることが予想され、観光業界の繁栄を支えるのはインバウンド消費、外国人観光客の使うお金がメインとなる。インバウンド消費をさらに伸ばすために、そして日本をより豊かにするために、我々がなすべきことは何だろうか。

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外国人観光客が求めるのはエデュテイメント

 外国人観光客に人気のあるスポットと言えばどこを思い浮かべるだろうか。

 やはり銀座の百貨店やユニクロ、それにドン・キホーテだろう、と予想する読者が多いと思うが、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が投稿された口コミの星の数を集計した結果、意外なことが分かった。

 1位は京都の伏見稲荷神社、2位は広島の平和記念資料館、3位は厳島神社と、日本古来の歴史や文化を感じさせる寺や博物館がランキングの上位を占め、テーマパークやショッピングセンターはほぼランクインしていないのだ。※2

 おそらく、日本人の考える観光施設と、外国人の求める観光施設には乖離が生じ始めている。この差を意識せず放おって置くと、いつかインバウンド消費の減少に跳ね返ることは避けられない。

 私達はもっと「エデュテイメント」な施設や、環境を外国人観光客向けに増やす必要がある。

 「エデュテイメント」とは、教育(education)、娯楽(entertainment)、の2つを掛け合わせて生まれた造語で、”遊びながら学ぶ”という意味だ。

 エデュテイメントを行う施設の代表例として、子供が遊びながら仕事を学ぶ「キッザニア」があげられる。

 外国人観光客にとって、日本人が考える観光地には、日本文化を遊びながら学べたり体験できる場所が少ない。

 彼らは日本文化に触れたくて来日したものの、体験し足りなくて、うずうずしているのだ。

 大阪ではこれらのニーズを見越して、インバウンド消費を見越した「エデュテイメント」施設が建設される予定だ。

 三井不動産は、2009年に閉鎖された万博記念公園エキスポランド跡地に、空港や高速道路、電車でのアクセスも良いことから、国内外の観光客と地元市民をターゲットにエデュテイメント施設を含む各種施設を構想している。

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一人15万円のインバウンド消費は更に伸ばせる

 外国人観光客が訪日で使う1人あたりの金額は平均約15万円を超える。※1

 今よりさらに外国人の心をくすぐる観光施設や体験を提供できれば、インバウンド消費はさらに伸びることが予想される。

 もちろんエデュテイメントを体験した観光客による帰国後の口コミがあれば、更に観光客数も増加することが見込める。

 まだまだインバウンド消費を想定した施設は少ない。鎖国の歴史が続いているかのように、未だに内向きなサービスが多いのが現実だ。

 まずは、恥ずかしがらずに笑顔で接すると同時に、外国人観光客の心をつかむエデュテインメントなスポットが必要とされる。

参照元

※1 訪日外国人消費動向調査2014年 年間値(速報)
http://www.mlit.go.jp/common/001066481.pdf

※2 トリップアドバイザー・外国人に人気の日本の観光スポット 2014
http://www.tripadvisor.jp/pages/InboundAttraction_2014.html

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