J・クルーニーがテキーラ販売会社を1,000億で売却〜成功を支えた1つの要因

企業分析

 ジョージ・クルニーが、テキーラ販売会社「カーサミーゴス」を1,000億円で売却することが報道されました。一般的なアルコールブランドは、長期的な消費者との信頼関係構築により、徐々に形成されていくのが一般的です。対して、同社は設立からわずか4年でトップブランドとなることに成功しました。これを支えたものとは何なのか考えてみましょう。

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ジョージ・クルーニーがテキーラの会社を1千億円で売却するってよ

 ジョージ・クルニーが、2013年にランディ・ガーバー(モデルで女優のシンディ・クロフォードの夫)と創業したテキーラ販売会社を1,000億円で売却すると報道されました。

 売却する会社は、カーサミーゴスといい、短期間で全米屈指のテキーラブランドを作ることに成功しています。

 ホームページを見てみると、以下のような感じです。

節約社長

 ジョージ・クルーニーのオーナー感が満載ですね(笑)

 日本には、高級リカーショップ信濃屋の直輸入部門である田地商店を通じて輸入されていますが、1本が8,000円程度の上代となっており入手も非常に困難です。

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カーサミーゴス社の短期間における成長を支えたもの

 さて、今後もジョージ・クルーニーは、広告への出演などを通じて同社に携わっていくとしていますが、それにしても新規ビジネスを1,000億円で売却するとは凄い偉業です。

 一般的なアルコールブランドは、長期的な消費者との信頼関係構築により、徐々に形成されていくのが一般的です。

 対して、設立からわずか4年という短期間で、なぜこれほどのことを、カーサミーゴス社は成し遂げられたのでしょうか?

 同社のテキーラはたしかに、毎年行われるコンテストにおいて入賞を続けるなど、その品質を評価されています。

 それと同時に同社の躍進を支えている背景の1つに、コアターゲット層である若年世代へ、巧みなマーケティングでアプローチしていることがあげられるでしょう。

 その最もわかりやすい例が、インスタグラムの活用です。

 参考URL:casamigos/Instagram

Cheers to the man who taught us to keep our friends close and our tequila closer. Happy birthday George! #CasamigosCelebrates

Casamigos Tequilaさん(@casamigos)がシェアした投稿 –

Leaving the office early. #longweekend #HouseOfFriends

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REPOST @randegerber When you send your friend onesies and he thinks they’re @casamigos coozies. #firsttimedad

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@RandeGerber, bringing the party since ’62. #CasamigosCelebrates

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 ジョージ・クルーニーとランディ・ガーバーの2者による、熱烈なカーサミーゴス“推し”が伝わりますよね。

 ちなみに、カーサミーゴスのインスタグラムアカウントには、なんと約85万人のフォロワーが存在します。

 同じ酒類業界を見ても、アサヒビールのアカウント16.7万人、サッポロビールのアカウント15.3万人と比較(2017年6月現在)すれば、その規模は数倍に達しており、如何に設立当初からカーサミーゴスが、若年層を意識してSNSを活用してきたか理解できるのではないでしょうか。

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効果的なマーケティングが競争優位性を作る

 売れる商品を作り、効果的なマーケティングで売上を作り、一定以上のサイズになってから売却する、これはスタートアップの典型的な成功例です。

 おそらく初めから売却を視野に入れていたのでしょう。

 テキーラ自体に特別な競争優位性があるわけではありません。

 カーサミーゴスは、ジョージ・クルーニーという強烈なアイコンを強みとして生かし、時流に応じた効果的なマーケティングツール(SNS)を活用することで、短期間のうちに売れるブランドを作ることに成功したのです。

 今回の売却劇は、ITやAIがなくてもスタートアップはできるし、社会にインパクトを与えるようなビジネスを短期間に作ることは可能、ということを示す好事例と言えるでしょう。

 日本でもこうした事例がドンドン出てきてほしいと心から思います。

企業分析
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大原達朗

一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事・アルテパートナーズ株式会社代表取締役として、M&Aを手掛ける公認会計士です。

BBT大学、法政大学院イノベーションマネジメント科の教員も兼任しております。

大企業だけではなく中小企業にとっても、ユーザーフレンドリーな会計業界を、世界中に広めることが目標です。

M&Aの悩み(会社や事業を売りたい/会社や事業を買いたい/小規模M&A投資を検討している)があれば、お気軽にお問い合わせください。

運営サイト:
経営者のための実践ファイナンス

【現職】
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事
アルテ監査法人代表社員
アルテパートナーズ株式会社代表取締役
日本マニュファクチャリングサービス株式会社監査役
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師
ビジネス・ブレークスルー大学大学院准教授
ビジネス・ブレークスルー大学准教授
PT. SAKURA MITRA PERDANA Director

【職歴】
1998年10月 青山監査法人プライスウオーターハウス入所
2004年1月 大原公認会計士事務所開設
2004年6月 株式会社さくらや 監査役
2006年1月 株式会社ライトワークス リスクコンサルティング部ディレクター
2007年4月 ビジネス・ブレークスルー大学大学院講師
2008年4月 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師(現任)
2008年4月 アルテ公認会計士共同事務所開設 代表パートナー
2008年6月 日本マニュファクチャリングサービス株式会社 監査役(現任)
2009年4月 アルテパートナーズ株式会社設立 代表取締役(現任)
2010年7月 アルテ監査法人設立代表社員(現任)
2010年8月 日本M&Aアドバイザー協会 理事
2014年10月 日本M&Aアドバイザー協会 代表理事(現任)
2016年4月 ビジネス・ブレークスルー大学准教授(現任)

【所属団体】
日本公認会計士協会、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)、日本税理士会、日本CFO協会

【資格】
公認会計士、税理士、 JMAA認定M&Aアドバイザー (CMA)

【その他】
ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA/経営管理修士(専門職) 日本CFO協会主任研究員(2006年)

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