揺れる東芝が半導体事業の一部を売却〜分社への出資先が狙うのは◯◯

事業譲渡

 東芝が電力ビジネスの不振、投資先の「のれん」減損問題で揺れ、株価も12月5日の465円から、年明けの1月19日には243円へとほぼ半減するなど、早期の体質改善を求められています。そのような中で、報道は“虎の子”の半導体事業の一部売却を東芝が検討していることを伝えています。引受先候補のキャノンやファンドが狙う果実とは何なのでしょうか?

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揺れる東芝〜半導体事業の売却を検討開始か?

 東芝が電力ビジネスの不振、投資先の「のれん」減損問題で揺れています。

 株式市場においては特設注意市場銘柄に指定され、株価も12月5日の465円から、年明けの1月19日には243円へとほぼ半減。

 一ヶ月で1兆円近い時価総額を失うほど、今回の問題は大きなインパクトを市場に与えるものでした。

 そんな東芝が損失の穴埋めをするために、硬く稼げたメディカル事業に続き、今度は“虎の子”の半導体事業の売却を検討していると報道されています。

 事業の売却助言を行っているのは、米ゴールドマン・サックス社ですが、株式の引受先はどんな果実を狙っているのでしょうか?

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稼ぎ頭の半導体事業のうち売却するのは“一部”

 以下の東芝・IR情報を見ればわかりますが、東芝の半導体部門(セグメント情報ではセミコンダクターと表記)はブレはあるものの、年間の2000億円以上の利益を出せるまさに東芝の稼ぎ頭です。

節約社長
東芝・投資家情報より

 これを売却してしまえば、収益性という観点から、東芝は“すっからかん”になってしまいます。

 この観点からすると「東芝は半導体事業を売却してはダメ」という結論になりますが、ブルームバーグの記事を見ると、

  • 1:東芝は半導体事業を分社化し、
  • 2:その20−30%を売却することを検討し、
  • 3:キャノンを含む事業会社やファンドが買収を検討している

 という状況です。

 したがって、東芝は半導体事業を「完全に」失うわけではないので、当面は何とかなると言えそうです。

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引受先が狙う「分社した会社の上場」という果実

 しかし、20−30%の株式を買った企業やファンドは、次の段階、つまりは「リターン」を狙うはずです。

 つまり、分社した会社を上場させることを狙っているのではないでしょうか。

 東芝単体では資金調達が難しいため、外出しをして資金調達をすることを目指すのは自然だと思います。

 もちろんそれがうまくいかない場合は事業会社による、子会社化を含む買収や転売につながる可能性もあります。

 窮地に陥る会社がある一方で、この手助けを行うことにより果実を得るプレイヤーが現れるのが、M&Aの実態でもあります。

Photo credit: isinoid via Visual Hunt / CC BY

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大原達朗

一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事・アルテパートナーズ株式会社代表取締役として、M&Aを手掛ける公認会計士です。

BBT大学、法政大学院イノベーションマネジメント科の教員も兼任しております。

大企業だけではなく中小企業にとっても、ユーザーフレンドリーな会計業界を、世界中に広めることが目標です。

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経営者のための実践ファイナンス

【現職】
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事
アルテ監査法人代表社員
アルテパートナーズ株式会社代表取締役
日本マニュファクチャリングサービス株式会社監査役
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師
ビジネス・ブレークスルー大学大学院准教授
ビジネス・ブレークスルー大学准教授
PT. SAKURA MITRA PERDANA Director

【職歴】
1998年10月 青山監査法人プライスウオーターハウス入所
2004年1月 大原公認会計士事務所開設
2004年6月 株式会社さくらや 監査役
2006年1月 株式会社ライトワークス リスクコンサルティング部ディレクター
2007年4月 ビジネス・ブレークスルー大学大学院講師
2008年4月 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師(現任)
2008年4月 アルテ公認会計士共同事務所開設 代表パートナー
2008年6月 日本マニュファクチャリングサービス株式会社 監査役(現任)
2009年4月 アルテパートナーズ株式会社設立 代表取締役(現任)
2010年7月 アルテ監査法人設立代表社員(現任)
2010年8月 日本M&Aアドバイザー協会 理事
2014年10月 日本M&Aアドバイザー協会 代表理事(現任)
2016年4月 ビジネス・ブレークスルー大学准教授(現任)

【所属団体】
日本公認会計士協会、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)、日本税理士会、日本CFO協会

【資格】
公認会計士、税理士、 JMAA認定M&Aアドバイザー (CMA)

【その他】
ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA/経営管理修士(専門職) 日本CFO協会主任研究員(2006年)

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