ROE指標を軸とした経営とは?-経済用語一本釣り

資産運用

 今週も経済に大きな影響を与えるイベントが目白押しである。中でも一番の注目は、企業の四半期決算発表が本格化することである。決算発表時によくアナリストがテレビでコメントする「ROE指標が改善された」「ROE経営ができている」の「ROE」とはどのような意味だろうか?なぜ決算を見るときにROEが注目されるのだろうか?

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今週の経済イベント 主要話題ピックアップ

 今週の経済イベントのうち、海外も含めて重要度の高いイベントをピックアップする。
2月2日(月)アメリカ:12月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前月比)
2月3日(火) オーストラリア:豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
2月6日(金) アメリカ:1月失業率 /非農業部門雇用者数変化(前月比)
2月1日以降 日本:上場企業四半期決算発表が本格的にはじまる

 アメリカでは、雇用や景況感に関する重要な発表が続く。国内に目を向けた時に重要度の高いイベントは、2月初週からはじまる上場企業の四半期決算発表が本格化することだ。3月期決算発表の企業であれば、第3四半期決算の発表となる。
 
 決算発表時によくアナリストがテレビでコメントする「ROE指標が改善された」「ROE経営ができている」の「ROE」とはどのような意味だろうか?なぜ決算を見るときにROEが注目されるのだろうか?

 株式投資を行う際にもROEは重要指標となるので、一度抑えておきたい言葉だ。

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ROE指標・経営とはとはどんなもの?

 ROEとは、(Return on Equity)の略語で、自己資本に対する当期純利益の割合を意味する。企業が資本を有効活用して、効率的な経営ができた時ほど、ROEの指数は大きくなる。

 平たく言うと、当期純利益はその期に確定された会社利益であり、純利益が多ければ、株主は1株あたりから、より多くの配当を受けられる可能性が高まる。よって自己資本に対する当期純利益の比率(ROE)が高まれば、株主にとって当該企業は投資対象として魅力が高まるのだ。

 以下、具体的に説明しよう。

 ROEの計算方法は、ROE=純利益÷株主資本(純資産)×100、として計算される。

 例えば同じ10億円の資産を持つ、X社とY社があったときに、今年度の売上と純利益がそれぞれ、

  • X社:売上高20億円、純利益2億円
  • Y社:売上高15億円 純利益3億円

 だった場合、各社のROEは

  • X社ROE:2億円÷10億円×100=20%
  • Y社ROE:3億円÷10億円×100=30%

 と計算できる。

 X社、Y社どちらかに1億円投資した場合、毎年効率よく配当を持ってきてくれる可能性が高いのはY社だ。X社は、同じだけ投資しても最後に残る純利益がY社より少ないため、魅力が少ない。

 テレビでよくアナリストが、同じ業界内の各社を分析する際に、「ROE指標で見ると、A社のほうがはるかによい。」とROEを重視する理由は、これらの計算が元となっている。

 国内株式市場で60%以上の売買を行う海外投資家は、特にROE指標を重視する。

 従って、購入している企業の決算を見るときは、前期比で売上高がどれだけ伸びたかを見ると同時に、ROEが同業他社と比較してどうなっているかを把握しておきたい。

 日本企業は以前、株主へ利益還元することに対して疎かったが、近年では株主への利益還元を行うことで、より国際的に資本を集めて、競争力を高めようとしている。

 外国人投資家が投資する企業は比較的パフォーマンスが高いことから、投資妙味は増えやすい。

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ROEが高いだけなら投資妙味はあまりない

 ROEが高いことは魅力的であるが、潤沢な資産/現金があっても株主に利益を配分しないケースも多々ある。

 特に上場ベンチャー企業にそのケースが認められる。

 この場合は「将来の更なる業績拡大のため投資を行う」など正当な理由がなければ、批判に晒されて株価は下落する。

 連続する決算発表をROE指標で眺めてみるのはいかがだろうか?

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