ウソだらけの求人募集を出すと社長が懲役刑を食らう時代が到来

背伸びした求人募集によるトラブルが増加傾向

 「お給料をたくさんもらえて、福利厚生も充実していて、いつも定時上がりできて、職種は自分の希望する(できれば楽な)部署に配属されたい」

 雇用される側にいる人の本音は、10人いたら半分はこのようなものかもしれません。

 人材難が深刻化する中で、会社側もこれらの本音をよくわかっているため、ハローワークや民間の求人サイトへ求人票を提示する際は、自社を魅力的に飾り立て、できるだけ高待遇の条件を提示します。

 ところがうまくいかないのが世の常。なんとか良い人材を雇いたいがゆえに背伸びして出した求人票は、結局のところ悪印象しかもたらしていないようです。

 厚生労働省が発表したところによると、昨年だけでハローワークの求人票に関する苦情や相談は2万件近く寄せられ、平成24年度の調査開始以降、常に増加傾向にあります。

 トラブルの内容を見ると、賃金をめぐるトラブルが最も多く、就業時間や職種、仕事内容に対する苦情も目立ちます。

 「求人票で提示された労働条件と実態が大きく異なる」ことを要因とした相談等は3,926件(36%)に及び、「求人者からの説明不足」も2,540件(23%)、これらで約6割に到達します。

 最悪のケースでは、これら虚偽の記載を理由に、労使間で訴訟に発展してしまうケースすら見受けられています。

ハローワークの募集条件に虚偽がある場合は懲役も今後あり得る

 ところが、厚生労働省の有識者検討会は今年の6月に、ハローワークはもちろん、民間の職業紹介事業者に対して、募集条件に虚偽の記載がある求人を出した企業と幹部に、懲役刑を含む罰則を設けるべき、という趣旨の報告書を提出しました。

  一番のポイントは、罰則の中に「懲役刑を含む」とされたことです。

 というのも、これまでは、企業がハローワークで虚偽の求人を出しても、是正勧告は受けるものの、罰則規定は設けられていませんでした。

 懲役刑は実刑を含む極めて重い措置であるため、罰則がなかったところから、いきなりジャンプアップした措置が検討されていることには、大きな驚きがあります。

 更には、表現に規制のなかった求人情報提供事業者(ネット媒体・紙面媒体)に対しても、募集(労働)条件の明示義務について、ルール決めがなされるべきだと報告があがっています

 今秋以降の労働政策審議会で議論の本格化が見込まれることを踏まえると、職業安定法の改正はいよいよ現実のものとなりそうです。

 なお、今でも、企業が自社の求人特設サイトやホームページで虚偽の募集条件を掲載した場合は、直接採用した場合に罰則(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)の適用があるため、注意が必要です。

基本給と残業代や諸手当の明確な分別表示も

 最後になりますが、ハローワークに掲載される募集条件の情報は、「求人申込書」の記載に基づいて掲載されますが、残業代の表記は既に気をつけなければならないことにご注意を。

 求人申込書の詳細な書き方は冊子でまとめられていますが、これと別に「固定残業代の表示」に関するパンフレットが、最近新たに公表されました。

 求人申込書の賃金欄について 、固定残業代を採用する場合は、

  • 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  • 固定残業代を除外した基本給の額
  • 固定残業時間を超える時間外労働
  • 休日労働および深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと

 などの詳細を明示することが必要で、基本給に固定残業代など各種手当は含めないよう、重々釘を刺す留意点が掲載されています。

 ブラック企業のようなことをしていては、生き残れない時代がもうすぐ訪れようとしています。

福利厚生
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