マツダの「ツ」はなぜ“tsu”ではなく“z”なのか?“z”に込められた創業者の志

企業分析

自動車メーカー、マツダの英語表記は、普通のスペルで考えれば“matsuda”ですが、マツダは敢えてブランドスペルを“mazda”と表記しています。

私達は、mazdaの“z”の起源から、創業者が自社を世界的な企業として発展させ、世界をまたいで社会に価値をもたらす目標を持っていたことを、知ることができます。

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独自技術でニッチ市場へ積極展開するマツダ

“Zoom-Zoom”のキャッチフレーズで知られる自動車メーカーと言えば「マツダ」です。

日本国内の販売シェアは6位であり、規模もトヨタの10分の1と、巨大な自動車産業の中では中小規模に類する企業です。

しかし、マツダは、ハイブリッド車の開発競争に敢えて参戦せず、デザインの良いディーゼルエンジン車を開発し、海外(特にヨーロッパ)で大きな支持を得ています。

また、日本国内でも自動車学校の教習車市場では圧倒的なシェアを持つなど、独自のニッチな取り組みで、マーケティングの巧者ぶりを発揮しています。

筆者も先日、ヨーロッパに行く機会に恵まれましたが、各都市でみかけた日本車のほとんどが、Vに見えるMのエンブレムをまとったマツダの車だったことは非常に印象的でした。

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マツダのスペルが“matsuda”ではなく“mazda”である理由に隠された創業者の意志

ちなみにマツダの英語表記は、普通のスペルで考えれば“matsuda”ですが、マツダは敢えてブランドスペルを“mazda”と表記しています。

コマーシャルで最後にエンブレムと共に流れる社名も、よくよく聞いてみると「マツダ」ではなく「マーズダー」と言ってるのがわかります。

このように、マツダの「ツ」が“tsu”でなく“z”なのには、2つの起源があります。

1つ目の起源は、創業者である松田重次郎の苗字「マツダ」です。これは誰しもが想像できるところでしょう。

興味深いのが2つ目の起源です。

mazdaという英語表記は、古代ペルシア(現在のイラン)で生まれた、ゾロアスター教の最高神・アフラ・マズダー(Ahura Mazdā)にあやかった表記でもあります。

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ゾロアスター教の最高神・アフラ・マズダー。ちなみにアフラは「阿修羅」の語源でもある。

ゾロアスター教は、キリスト教やイスラム教など、神はただ一人と主張する宗教が根底に持つ「唯一神概念」の源流思想と言われており、世界をまたぐ宗教概念を作った宗教として、東西文明をつなぐシンボルでもあります。

更に、アフラ・マズダーは、叡智と理性を司り、世界に光をもたらす神として崇められる善神でもあります。

マツダは、自動車を開発し始めた1931年から既に、“mazda”表記を採用しています。

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左側が1930年代のエンブレム画像:list25.com

このことから私達は、創業者・松田重次郎が、創業時の事業規模が小さい時から、自社を世界的な企業として発展させ、世界をまたいで社会に価値をもたらす目標を持っていたことを理解できます。

マツダの「ツ」が“tsu”でなく“z”であることには、創業者の卓越した志と目線の高さ、世界を見渡す視野が隠されているのです。

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苦難にある時ほど「視点は現場・視野は世界」

経営者にとっての日常業務は、非常に地味で、コツコツとクリアして行かねばならぬ課題が山積したものです。

しかし松田重次郎は、広島に投下された原子爆弾による被害にもめげず、広島の街と共にマツダを復興させ、世界に羽ばたかせる礎を築き上げました。

復興へ向けた活力の源として、自らが“mazda”という表記に込めた創業時の志が貢献したのは、容易に想像がつきます。

経営者が視点を現場に残しつつも、常に目線を高く保ち、視野を大きな世界に広げることで、企業の発展は成し遂げられていきます。

Photo credit: A.Davey via VisualHunt.com / CC BY
Photo credit: insider_monkey via Visual Hunt / CC BY-ND

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