会計のプロ・税理士がクラウド会計に希望する3つの改善点

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 freeeやMFクラウドなど、クラウド会計ソフトに対する認知度が徐々に上がっています。ところが税務のプロから見ると、クラウド会計が会計業界のスタンダードとなるには、もう少し時間がかかるようです。実務の現場で実際にクラウド会計ソフトを使ってみて、プロが改善すべきと感じている3つのポイントをご紹介したいと思います。

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クラウド会計が浸透するのに時間がかかる理由

 freeeや、MFクラウドなどのクラウド会計ソフトについて、お問い合わせが非常に増えてきました。

 実は私自身も、クラウド会計ソフト「MFクラウド」の公認メンバーとして、皆様のサポートをさせていただいてます。

 それだけクラウド会計に対する認知度が上がってきたということなのですが、それで「会計業界のスタンダード」になるには、もうちょっと時間がかかりそうです。

 ずばり、スタンダードになるための大きな壁となっているのは「税理士への普及」です。

 会計ソフトのユーザーは、事業主や経理担当者などだけではなく、税理士や会計事務所の人間も含まれているからです。

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税理士にとってクラウド会計はまだ使いにくい

 簿記などの会計知識のない個人事業主や中小会社の社長にとってみれば、

  • 感覚的に操作できる
  • ネットバンクなどのデータを自動で取り込める

 といったことが出来るクラウド会計ソフトには、利用上の大きなメリットがあります。

 インストールする必要が無い、どこにいてもクラウドにあるデータを触れる、といったポイントも評価されています。

 一般的なユーザーにとっては高評価のクラウド会計ソフトですが、会計業界の中心にいる税理士・会計士には、あまり評価が高くありません。

 なぜ、クラウド会計は税理士に未だ評価されていないのでしょうか?

 理由を以下3つ提示します。

使いにくいポイント1:クラウドゆえのソフトの重さ

 ブラウザを通してクラウド上のデータを操作するのが、クラウド会計の大きな特徴です。

 自分の手元にあるパソコンのデータを加工するのに対して、クラウド会計はどうしてもタイムラグが出てしまうのです。

 時間からすれば、ほんの0.1秒程度かもしれないのですが、そのタイムラグに対するストレスと言うのは相当なもの。

 一般ユーザーであれば、一つ一つ考えながら入力するような場合であっても、私たちのようなプロが入力するときは、それこそテンキーなど見ずにひたすら右手だけ動かしているような状況です。

 正直、クラウド会計ソフトを今までのインストール型の会計ソフトと同じ感覚で使おうとすると「ソフトが重すぎて使いものにならない」というのが本音でしょう。

 クラウド会計推しの税理士も多く知っていますが、ほぼ全ての人が「クラウド会計ソフトで入力してはダメ」と言っています。

 会計ソフトの外でエクセル、CSVなどで連動データを用意する必要があります。

 ひと手間かければ済むという話かもしれません。ただ「会計ソフトの中で完結できない」というのは、やはり問題と言えるでしょうね。

使いにくいポイント2:データの検証機能が弱い

 これはポイント1にも共通するのですが、クラウドにデータがあるので「データの呼び出し」に時間がかかります。

 既に連動・入力されているデータの内容をチェックするため、データを呼び出そうとすると、従来型の会計ソフトに比べるとかなり遅いのがわかります。

 一般ユーザーの人にとっては「入力しちゃえばそれでおしまい」という感じかもしれません。

 ただ、データの内容に間違いが無いかどうかを確認する立場の税理士にとっては、この「データの検証機能」というのは非常に重要なポイントなのです。

 お客様が作った会計データをチェックするのも私たちの仕事です。

 ほぼ完ぺきにデータを作ってくれる方もいられますが、多くの方の場合は多少なりとも入力データに間違いがあります。

 その間違いを探しやすいかどうかというのも、ワタシたちのようなプロが会計ソフトを選ぶ一つの基準にもなっています。

 そういう意味からすると、クラウド会計ソフトはハッキリ言って「まるでダメ」です。

 データの検証性という意味では非常に使いにくい。

 クラウドゆえの遅さというモノを我慢して、データのチェックが出来たとしても、間違ったデータを直すのもメチャクチャ面倒くさいのです。

 私自身、クラウド会計ソフト上のデータをチェックする時は、クラウド会計ソフト上では行いません。いったんデータを吐き出してから、別のアプリケーションでチェック・修正しています。

 このあたりもプロである税理士が、クラウド会計に踏み切れない大きな理由の一つです。

使いにくいポイント3:データの安全性への不安

 クラウド会計の特徴は、データをクラウドに置いておくということです。

 クラウドサービスを使い慣れた自分たちにとってみれば、そんなことは当たり前かもしれません。

 ただ、多くの方は「クラウドにお客様の大切な会計データを預けておいて大丈夫なのか?」という気持ちを持たれていることでしょう。

 とくに税理士は年配の方が多いので、新しいサービスに対する懐疑的な気持ちと言うのは強いはずです。

 自分のサーバにデータを置いておかなければ、不安でしょうがない方が多いのです。

 紙よりもデータ、自社サーバよりもクラウドの方がよほど安全だという認識になるには、相当な時間がかかるかもしれません。

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クラウド会計ベンダーにこれから求めたい対応

 一般ユーザーにとっては使いやすいソフトであったとしても、税理士にとって使いやすいと言えないのが、クラウド会計ソフトの現状です。

 多くの税理士が「クラウド会計に対応していますよ~」と言ってはいますが、本音では「あー、使いづらいなぁ」と思っている人も多いはず。

 知れば知るほど、クラウド会計ソフトのダメな部分も見えてきますが、そういうダメな部分、クレームの出ている部分と言うのは改善の余地もあるはずです。

 その部分を克服していけば、もっともっとプロである税理士にも支持されて、普及が加速していくと思います。

 私が考える一番のデメリットは「クラウドゆえのデータの重さ」です。

 例えば、オフラインアプリを開発して、修正・チェックだけはデータをダウンオードしてオフラインで出来るようになれば、クラウドの重さは解決できるはずです。

 データの不安を抱える人には、自社サーバへのデータストレージなどのサービスも提供してあげればいいわけです。

 こういった現場への不満にも対応できるかどうかは、クラウド会計ベンダー自体が生き残っていけるかどうかのポイントだと思います。

 「クラウド会計ってこんなすごいんだよ!」なんて言っててもらえるうちに対応しておかないと、すぐに愛想尽かされちゃうかもしれませんよ。

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プロも満足するレベルになればスタンダードに

 いろいろ不満を書きましたが、それでも便利な部分は便利です。ただ、まだまだ改善の余地があるからこそ苦言を申したいわけです。

 最終的には、一般ユーザーに支持されるソフトが生き残っていくと思っています。

 そういう意味では、クラウド会計はユーザー支持を受けやすいメリットを持っていますので、優位なポジションにいるわけです。

 あとは「会計業界のスタンダード」になるためには、プロも満足して使えるレベルに引き上げていく必要があるでしょうね。

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鈴木 一彦

鈴木一彦 プロフィール

◆保有資格

税理士、行政書士

◆モットー

「走る税理士」 それが私の別名です!

趣味はマラソンとトレイルランニング。
時間を見つけては、海に山に走りに出かけています!
今の目標は「日本百名山をトレイルランで走破」すること。
壁は高ければ高い方が挑み甲斐があるというものです。

私は生まれも育ちも小田原です。
愛着と思い入れのあるこの地で事務所を構えております。
神奈川県西地域が魅力ある場所になるためにチカラを注いでいます!

私は税理士や弁護士などの「先生商売」と呼ばれるお堅いイメージを無くすことをモットーとしています。

我々のような専門家は、もっとみなさまにとって身近な存在であるべきなのです。
困った時、助けてほしい時に気軽に何でも相談できるような、そんな存在になりたいのです。

一人で悩んでいても、なかなか答えが出てくるものではありません。

まずはお気軽にお問い合わせください!

◆経歴

昭和50年7月 神奈川県小田原市生まれ

平成6年3月 神奈川県立小田原高校卒業

平成10年3月 法政大学経営学部経営学科卒業、神奈川県秦野市の税理士事務所で勤務
(法人税申告300件、個人確定申告800件、相続税申告20件以上を担当)

平成23年12月 第61回税理士試験合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、相続税法)

平成24年3月 東京地方税理士会平塚支部にて税理士登録

平成26年3月 税理士法人を退社し、神奈川県小田原市にて鈴木一彦税理士事務所を開業

平成26年7月 経済産業大臣により経営革新等認定支援機関に登録される

平成26年8月 行政書士として登録(神奈川行政書士会小田原支部)

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