ナッツリターン 子供は会社を継ぐべきか?

経営

 大韓航空の副社長がナッツの出し方に激怒し、乗っていた自社旅客機を搭乗口へ引き返させた責任を取り、辞任に追い込まれた「ナッツリターン」騒動が世界的な話題となっている。子供に会社を継がせるか否か判断する際には、本人に能力があると客観的に認められること、優れた二番手の存在が重要になる。

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ナッツリターン 子供は跡継ぎにするべき?

 

 「大韓航空」の元副社長チョ・ヒョナ氏が自社旅客機のファーストクラスに搭乗した際、出てきたナッツの形態(袋に入ったまま)に激怒し、乗っていた自社旅客機を搭乗口に引き返させた「ナッツリターン」騒動が世界的な話題となっている。
 
 チョ・ヒョナ氏は、国内から大バッシングを受けて同社が所属する「韓進グループ」の全役職から辞職することになった。彼女が世襲という条件だけで、同グループの主要ポストに就任していたことも、問題の火に油を注いだ。
 
 会長であり父親であるチョ・ヤンホ氏は、娘の尻を拭くために謝罪会見まで開き、世襲による事業承継の失敗例を世間へ晒(さら)してしまった。
 
 経営者にとって会社を誰に承継させるかは、大きな問題の一つである。
 
 選択肢はいろいろあるが(世襲、内部・外部人材へ承継、売却、閉鎖等)、子供への世襲が一概に悪い手段ということはない。置かれた環境の中で、自分が見つけられる人材には限りがあるからだ。
 
 ましてや意思の疎通が取れた良好な親子関係を築けている子供は、100%の信頼をオンにすることができる貴重な存在でもある。
 
 問題は子供に世襲させることが、会社にとってプラスに動くかどうかだ。

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世襲にあたり最低限クリアすべき2つの条件

 子供に企業を世襲させることを検討するなら、最低限以下2つの事項がクリアしていることが必要だ。
 
 1つ目は「客観的に判断し子供に経営者の能力がある」こと、2つ目は「二代目にNOを言える二番手の存在がある」ことの2つである。

1)客観的に判断し子供に経営者の能力がある

 世襲により事業承継が成功している場合、子供自身が人心マネジメント能力を持ち、数字を独力で作れる人間である場合が多い。
 
 あなたの子供は外部にいたとしても、自社にいたとしても社内で良好な人間関係を築き、チームを率いて成功した経験はあるだろうか?人に奉仕すること、自分を犠牲にすることを厭(いと)わぬ心を持ち、仲間に信頼されているだろうか?自分自身で責任を持ったプロジェクトに関わり、数字で見える客観的な結果を出しているだろうか?これらの問いを当てはめ、それでも子供が回りよりも秀でているならば、世襲してもうまく行く可能性が高い。

2)二代目にNOを言える二番手の存在がある

 あなたが望もうと望まざると、継続して業績を上げ続けている企業を率いる経営者は、社員にとってカリスマである。
 
 多少強引なことをやってでも会社を存続させてきたはずだ。「虹は10色だよな」と社員に言えば、彼らはそれが正解でなくとも「はい、そのとおりです。」とあなたに言うのも当然だ。だからこそ、あなたが会社を外れた後、世襲した子供が同じことを言っても敢えて「虹は7色ではないでしょうか?」とNOを突きつけられる賢い二番手の存在が必要だ。彼の存在はあなたの方向性を時代に合わせて修正するために必要なものであり、世襲経営者を助けるために必要な補助輪である。

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自分にとって会社は誰のものか再考しよう

 経営者は基本的に孤独な生き物だ。あなたが感じてきた孤独と支払ってきた自己犠牲は途方もなく偉大であり、他者が簡単に真似ることなど到底不可能だ。
 
 しかし、当初の志を基本に置きながら、業績拡大とともに、様々な社員が所属し、社員に家族が生まれ、会社はあなたの手中から段々と離れていく。社員のため、世の中のために必要な組織となっていくのだ。
 
 あなたの跡を継ぐ人間には、あなたの時代を尊重し良い部分を真似しながらも、新しい価値観を創造し、結果を出し続ける能力が必要だ。カリスマ性ではなく、どちらかと言えばコーディネート能力とコントロール能力が求められる。
 
 ナッツリターン騒動を引き起こしたチョ・ヒョナ氏には、言うまでもなくその能力がなかった。自身の感情さえ律することができないのであるから。
 
 事業の承継にあたり、どのような選択肢を選ぶかは経営者の自由であるが、企業を継続的に繁栄させるために、世襲がどれだけ難しい手段かということを念頭に置いておきたい。