クックパッドのお家騒動に学ぶ「会社の経営権は誰のものか」

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 クックパッドの経営方針を巡るお家騒動では、創業者で4割以上の議決権を有する筆頭株主と雇われ経営陣・従業員による対立構図が、鮮明なものとなっています。大株主とプレイヤー側で、経営方針の対立が起きた時に、プレイヤー側が事態を逆転させることは果たして可能なのでしょうか?大株主に対抗する3つの方法から考えてみました。

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クックパッド経営陣は大株主に対抗できるか?

 クックパッドの経営方針を巡るお家騒動が、直近の経済ニュースで大きな話題となっています。

 経営陣と、創業者で4割以上の議決権を有する筆頭株主との間の対立は、ひとまず創業者側有利な形で推移しているようですが、従業員の反発や株価低迷もあり、まだまだ決着とはいかない様相です。

 過半数を握る株主の力は圧倒的です。

 今回は単独で過半数の所有ではありませんが、クックパッドは上場企業であり、全ての議決権が行使されるということがほぼあり得ないことを考えると、実質的に過半数を握っているといってもよい状況です。

 ではこのような大株主と対立関係ができてしまった場合、雇われ経営陣や従業員の側に何かしらの対抗策はあるのでしょうか?

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経営陣や少株主が大株主に対抗する3つの方法

1)議決権割合の低下

 上場企業であれば、増資に関して取締役会にある程度の権限があります。そこで増資を行い、筆頭株主の議決権割合の希薄化を図るということが考えられます。

 ただし、この方法のハードルはかなり高いものになります。

 まず、普通に増資すればよいということではなく、目的を考えれば第三者割当増資という特定の第三者に直接新株を引き受けてもらうという方法を取らなくてはなりません。

  • 新株の引受先となる相手をどうやって探すか
  • 相手に増資を引き受けられるだけの資金があるか
  • 希薄化によって損失を被ったと既存株主から訴えられる可能性
  • 極端な第三者割当増資では上場基準に抵触する

 など、その他にも様々な問題点があり、時間と手間もかかる上に実行可能性も不透明です。

 非上場企業では、そもそも第三者割り当ては株主総会の決議が必要なため、筆頭株主に反対されて終わってしまうでしょう。

2)自己の持株割合を増やす

 株式の発行が見込めない場合、自己の持つ株式を増やすという方法もあります。

 過半数は無理としても1/3超を所有すれば、株主総会で会社の重要な事項を決議する、特別決議を否決できる権利が生まれます。

 仮に筆頭株主により会社経営から排除されていたとしても、この権利を持つことで会社の経営が行き詰る恐れがあるため、交渉の余地の幅がかなり広がります。

 また、単独で1/3所有ではなくとも、既存株主で協力者を求めることで補うこともできます。

 ただし、この方法も難しい点があります。

 上場企業では既に半数の株式を抑えられているとすれば、市場からだけではなく直接的に売主を探す必要があるでしょう。

 また、それだけの株を買う資金を、どのように調達するかという問題もあります。

 非上場会社では株主の数も少なく、筆頭株主と直接的につながっている株主がほとんどと考えられるため、さらに難しくなると思われます。

3)従業員や取引先、金融機関などの協力をあおぐ

 クックパッドでは、多くの従業員が前社長の復帰を求める署名に賛同しているとの報道があります。

 どのような会社でも従業員が働いてくれなければ仕事が回りません。

 少人数であれば見向きもされないでしょうが、相当数の従業員が集まれば無視できないものになります。さらに主要な取引先や金融機関に仲介をお願いするということも考えられます。

 これには常日頃からこれらの人たちと友好な関係を築けていなければいけませんし、実際に協力を仰げるかもわかりません。

 また特に従業員などは巻き込んでしまった後で、不利な扱いを受けないよう注意することも不可欠です。

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外野がなんと言おうが株主が一番強いのが現実

 大株主と対立関係ができてしまった場合、現場の経営者や従業員が事態を逆転させるのは、上記にあげたとおり非常に難しいものです。

 「株式会社」という言葉にあるように、株式会社は「最初に出資した株主に従い敬服する」図式により成り立つものです。

 資本主義の権化と言えるアメリカでは、日本以上にクックパッドのような騒動が日常茶飯事として起き、いつでも最終的に勝つのは株主です。

 クックパッドのお家騒動は、株式の保有比率が、如何に会社の方針へ大きな影響を与えるかを示す、貴重な例と言えます。

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