マクドナルド・500円おてごろセットを阻害する3つの障壁

時事

 日本マクドナルドが先週末、ハンバーガーメニューの刷新を発表しました。新バーガー3種にサイドメニューとドリンクをつけた「おてごろセット」(500円)が来週末から全国でメニュー展開されますが、消費者の反応は実に冷ややかなもので、期待や賞賛の声はあまり聞こえてきません。そこで本稿は、マクドナルド500円お手頃戦略を阻害する3つの障壁を提示します。乗り越えるための鍵とは?

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マックの500円セット戦略に消費者は冷ややか

 日本マクドナルド(以下:マクドナルド)が先週末、ハンバーガーメニューの刷新を発表しました。これまでのレギュラーメニューに加えて、新たに200円のハンバーガー3種(エッグチーズバーガー、バーベキューポークバーガー、ハムレタスバーガー)が投入されます。

 更にランチのセットメニュー割引は廃止され、新バーガー3種にサイドメニューとドリンクをつけた「おてごろセット」(500円)が来週の26日から全国でメニュー展開されます。

 メニュー形態を簡素化することで顧客にメリットを与え、自社は実質の値上げを行う戦略となることもあり、CEOのサラ・カサノバ氏も「今回の新たな展開によりマクドナルドの新時代を切り開きたい」とコメントしています。

 ところが消費者の反応は実に冷ややかなもので、期待や賞賛の声はあまり聞こえてきません。

 何故でしょうか?

 そこにはマクドナルド500円お手頃戦略を阻害する3つの障壁がありました。

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マック500円戦略を阻害している3つの障壁

1)100円商品と消費者がかぶる

 「おてごろセット」の狙う顧客層がワンコインランチで過ごす人々であるのは明白ですが、多くのマクドナルド店舗では既に100円の商品ラインナップがあります。

 ハンバーガー100円、フライドポテトはアプリ150円クーポンで手に入れて、コーヒー100円ならば、350円セットのできあがりです。

 消費者が安さを重視して3種のハンバーガーセットを購入するには、まずは自らが設定した100円商品のラインナップが壁として立ちはだかります。

2)商品に画期的イノベーションが起きていない

 今回の「おてごろセット」に対するインターネット上の消費者の声を集約すると「これまでの延長線上で出来た商品。具材の組み換えを変更しただけの印象。」という声が大勢を占めます。

 鶏肉の期限偽装、工場の衛生管理不行き届きなどの問題に端を発したマクドナルドの凋落。その後も異物混入問題が国内で取りざたされ、客数は29ヶ月連続で落ち続けています。

 マクドナルドも改善後の品質情報開示は積極的に行っていますが、イメージは変わりません。

 コモディティ化されたハンバーガーに飽きた人、少し多くお金を払ってでも良いものを手に入れたいと考える人達を熱烈なファンにするヒット商品は、2013年の不祥事発覚以降、まだマクドナルドで生まれていません。

 画期的イノベーションが認められる商品を世に送り出さなければ、消費者はいつまで経っても偽装問題のイメージをマクドナルドに持ち続けることでしょう。

3)店舗は結局のところ疲弊したまま

 一度は「おてごろセット」を購入しようと店舗へ行っても、マクドナルドの店舗では依然として、店員の顔に笑顔が少なく、トイレは飲食店としては非常に見苦しい状態が続いています。

 疲弊した従業員のモチベーションをあげられない限り、500円セットに一度は集まった人がリピーターと化すことは難しいでしょう。

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ハンバーガーのみにこだわると危険水準突入も

 巨大化した組織の中で急激な改革を進めることほど難しいことはありません。しかし、歴史を見ると同じ業態でコモディティ商品を同じ規模で販売し続けてきた企業も、まずありません。

 IBMは100年前に天秤売りから始まり、シャープも100年前に鍵売りから始まり、ソフトバンクは30年前に本の出版で創業しました。いずれの企業も今はそれらの事業を本業としません。

 マクドナルドが半世紀近くの間、ハンバーガー事業単体で日本国内の売上を伸ばし続けられたことは奇跡です。

 今回の「おてごろセット」により劇的な業績改善が見られれば良いのですが、もしそうでない場合、マクドナルドは根本から事業を組み立て直さねばいけない危険水準に差し掛かります。

 確かにマクドナルドは昨季時点では有利子負債が前期時点で5億円しかなく、自己資本比率は78.5%という超優良な財務体質を持つ企業です。

 しかし8月に発表した2015年6月中間決算は、最終(当期)損益が262億円の損失を抱え、店舗投資に120億円超(同時に借り入れを220億円実行)を充てています。

 大量のキャッシュアウトにより、13年度に700億近くあった現金残高は直近で270億程度へ減少しており、このまま行ってしまうとゼロ配当・資産の売却を始めざるを得ない状況です。

 有形・無形問わず自らの資産を活かし、業種・商品問わず大きなイノベーションが望まれます。

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