ペヤングが見習うべき白い恋人の不祥事対応

時事

 消費者のツイートにより発覚したペヤング焼そばへの「ゴキブリ混入」問題で、メーカーである「まるか食品」の事後対応が遅れたこと、情報のもみ消しを行おうとしたことが更なる問題を生んでいる。ネット社会の台頭で情報の加速度が早まる今、不祥事を起こした時の迅速な対応は急務である。不祥事の好対応事例として、「白い恋人」の賞味期限改ざん時の対応をもう一度振り返ろう。

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ペヤング焼そば 初動対応で痛恨のミス

 12月2日(火)にツイッターで消費者が「ペヤング焼そばにゴキブリが入っている」とツイートし発覚した、ペヤング焼そばへの「ゴキブリ混入」問題が大きな話題となっている。
 
 同時期(12月10日)に日清冷凍食品が冷凍パスタに同じくゴキブリ混入を発表したのに対して、ペヤングの話題のほうが大きく取り上げられている理由は、異物混入についてメーカー「まるか食品」の事後対応が遅れ、情報のもみ消しを行おうとしたからだ。
 
 情報を発信した消費者の元へ担当者が「お互いのため」という理由で情報のもみ消しをお願いした対応は、ツイッターを通じて再度暴露された。生産ラインの自粛を最小限に抑えようとした姿勢もマスコミに煽られ、火に油を注ぐ結果となった。
 
 ついに12月11日(木)まるか食品は、全商品の生産・販売休止を発表するという事態に追い込まれた。
  
 近年インターネットの台頭により情報の拡散速度が早まっていることから、企業の不祥事が経営に与えるダメージは非常に大きくなっている。
 
 起きた事象の重要性を見抜けず、迅速な対応を取ることを軽視したまるか食品は、今後どのような対応を取るべきだろうか?

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石屋製菓はなぜ不祥事後に復活したのか?

 今、まるか食品が見習うべきは、過去に不祥事を起こした後立ち直り、信頼を回復した企業の事例である。
 
 その最たる好事例が2007年8月に発覚した、北海道の老舗企業「石屋製菓」の「白い恋人」賞味期限偽装問題である。
 
 北海道の代表的なおみやげ「白い恋人」の15年にも及ぶ賞味期限の改ざんに加え、他の商品も最大で2ヶ月間賞味期限が延長されたことまで発覚した。問題は大々的に報道され、「白い恋人」は「黒い恋人」とまで揶揄されるようになるほど信用を地に落とした。
 
 このとき石屋製菓は迅速な対応をとった。
 
 まず、創業家出身の社長は問題発覚(マスコミ)からわずか3日で引責辞任を表明し、外部(取引銀行)から社長を招いた。創業家の影響を排除するため、役員5人中4人の親族も退任させられた。
 
 これに加えて、賞味期限の個別包装紙への印字、週一度のコンプライアンス会議開催、品質管理部・経営管理部の設置など、具体的な問題解決策を1ヶ月以内に次々と実行し、公に発表した。3ヶ月後の操業再開時には、商品の売り切れ店舗が続出したのである。
 
 2008年に59億円まで落ちた石屋製菓の売上高は、2014年時点で106億円と倍増している。

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のれんを守るために創業家の痛み必要

 石屋製菓とまるか食品の事例には共通点が3つある。老舗であること、どちらもロングヒット商品で不祥事を起こしたこと、創業家が支配する体質(石屋製菓は過去)である。
 
 石屋製菓の創業は1959年、まるか食品も1964年に創業された老舗会社である。まるか食品は今年50周年の記念の年を迎えるはずだった。
 
 そして、白い恋人は1976年の発売開始、ペヤング焼そばも1975年の発売開始であり、実は来年で販売開始40週年を迎えるのだ。
 
 よく食べる若者から、若い頃より慣れ親しんでいるお年寄りまでコアなファンは非常に多い。
 
 更に奇遇にもまるか食品も石屋製菓同様、創業家が支配する企業である。
  
 老舗のブランドを守るため創業家には、意思決定権・企業支配権の外部移譲(一部移譲含め)など痛みが伴うのは必須である。
 
 自ら起こした困難を乗り越え、時代の変化と共に新しい風を会社へ吹かせるため、まるか食品には石屋製菓の事例を積極的に学び、ファンのため迅速かつ具体的な施策を実施することが望まれる。

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