通販で「No.1」と表示する上で注意すべき5つのポイント

時事

 「比較広告(※1)」と並んで、「No.1」「トップ」「日本一」などを強調した「No.1表示」は、特に食品、家電、化粧品などの広告でよく見られます。しかし中には表示方法の信頼性が疑わしい場合も見られます。ショップサイトに「No.1表示」を行う際の注意点を、景品表示法上の観点から消費者生活アドバイザーがご紹介します。

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「No.1」は使い方によっては有効な広告表示

 顧客満足度、サービスの内容、商品の効果・性能、等に関するNo.1表示のように、商品の優良性をダイレクトに訴求するものは勿論、売上実績に関するNo.1表示も消費者は商品等の効果・性能や安全性などその内容が優良であると認識しやすいとされています。

 例えば、初めて購入する又は頻繁には購入しない商品等の場合、高額な商品等の場合、競合する商品等との違いが分からない場合、利用した後でないと良さが分からない商品等の場合などです。

 有効な広告表示であるからこそ、その信頼性が問われるといえるでしょう。

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No.1表示をする上で注意するべきポイント

 以下に、「No.1」表示のポイントをまとめました。

1)客観的な調査に基づいたデータを使用する

 客観的な調査といえるためには、景品表意法では以下のように規定しています。

  • ①当該調査が関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されていること
  • ②社会通念上及び経験則上妥当と認められる方法で実施されていること

 NG例は以下のとおりです。

  • ・顧客満足度調査の調査対象者が自社の社員や関係者である場合、又は調査対象者を自社に有利になるように選定するなど無作為に抽出されていない場合
  • ・調査対象者数が統計的に客観性を十分確保されるほど多くない場合
  • ・自社に有利になるような調査項目を設定するなど調査方法の公平性を欠く場合

2)根拠となる調査の「商品の範囲」を明確にし、消費者の認識と乖離しないようにする

 NG例は以下のとおりです。

  • 「美容液○○年売上実績No.1」と表示し、追加説明として「△△成分配合美容液売上実績No.1」と表示しても、消費者が「△△成分配合美容液」という商品範囲を理解できず、美容液と称する商品全体の中で売上実績がNo.1 であると認識するおそれがある場合。

(望ましい表示方法)
 「商品等の範囲」については、関係業界において商品等の範囲に関する基準がある場合には当該基準に従い、基準が消費者には知られていない場合には、消費者が理解できるように、説明を加えるなど商品等の範囲を明瞭に表示します。

3)根拠となる調査の「地理的範囲」を明確にし、消費者の認識と乖離しないようにする

 NG例は以下のとおりです。

  • 「地域No.1」のみの表示

(望ましい表示方法)
 消費者が認識する地理的範囲は様々であり、実際の調査対象となった範囲との間に差異が生じやすくなります。調査対象地域は、都道府県、市町村等の行政区画に基づいて明瞭に表示します。

4)根拠となる調査の「調査期間、時点」を明確にし、消費者の認識と乖離しないようにする

 NG例は以下のとおりです。

  • ・直近の調査結果ではNo.1であったとの事実がないにもかかわらず,過去の調査結果においてNo.1であったことを根拠として、調査期間を明りょうに表示することなくNo.1表示を行うこと〜
  • ・出典の発行年月日等の表示のみで、調査期間が表示されていないもの
  • ・「○年連続」とのみ表示で、調査始期及び調査終期が表示されていないもの

(望ましい表示方法)
 直近の調査結果に基づいて表示するとともに、根拠となる調査対象の期間・時点を明瞭に表示します。

5)「出典」も正しく表示する

 「出典」が表示されていないと消費者はその調査の客観性について疑問を感じてしまいます。第三者が調査したランク付けなどを利用する場合は、その調査が客観的に実証された根拠に基づくものかどうかの確認も忘れずに。

【出典の表示例】

  • ・ある調査会社が行った調査結果に基づく表示の場合→調査会社名及び調査の名称を表示
  • ・ある雑誌に掲載されている調査結果に基づく表示の場合→雑誌名及び発行年月日、調査の名称を表示(調査が調査会社に委託して行われたものであれば、実際に調査を行った調査会社名及び調査の名称も併記)

 以上の事項の表示の際は、消費者が認識できるよう、文字の大きさや同一視野に入るようにするなど表示方法にも配慮するようにしましょう。

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業界の自主ルールも参考に表示方法を決める

 上記5点がナンバーワン表示を行う上で原則として念頭に置くべき注意点です。

 最後にもう一つの注意点をお伝えします。 

 「ビール」「はっ酵乳」「乳酸菌飲料等」「化粧品」「不動産」など、「No.1表示」に関しても公正競争規約(※2)などで自主的に規制をしている業界もあります。

 自社商品についても業界の自主ルールを確認し、参考にされるとよいでしょう。

参照元

(※1)正しい比較広告のススメ (ネットショップ CS情報局)
   http://blog.fides-cd.co.jp/article/135247311.html

(※2)公正競争規約((社)全国公正取引協議会連合会)
   http://www.jfftc.org/

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久保 京子

株式会社 フィデス 代表取締役社長

広告表示のコンプライアンスや消費者視点の顧客サービスを重視した、ネット通販マーケティングのコンサルティング会社です。

景品表示法や医薬品医療機器等法(旧薬事法)などの広告法務や、顧客満足を高める顧客対応など、ネット通販の「守り」の部分をバックアップします。

広告表示規制が強化される中、違法表記は企業の信用やブランド価値の低下など、致命的な事業リスクになりかねません。
また、拡散力が飛躍的に高まったネット時代のカスタマー対応は、ダイレクトに売り上げとコストに影響を与えます。

カスタマー対応はもとより、広告の違反基準となるのは、サービスの受け手である一般消費者目線です。
常に消費者目線を意識することが、事業のリスクマネジメントの基本となります。

お気軽にご相談ください。

取得資格
内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格 消費生活アドバイザー
※消費者と企業の懸け橋として、企業の消費者志向経営をサポート。
 消費者庁の法執行専門職員(景表法やJAS法などの違反被疑事案の調査補助を行なう)や、
 照会専門職(事業者からの相談対応)の要件となる資格。

サービス内容
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