ボジョレーヌーボー解禁 景表法を学ぼう

経済

 今年もいよいよ明日20日(木)にワインの代表銘柄ボジョレーヌーボーが解禁となる。ボジョレーは「◯◯年に一度の美味しさ」などの宣伝文句で販売されているが、一部の業者の文句は実際の評価とかけ離れており、景表法に抵触するのではとの指摘もある。これを機に営業活動や広告をコンプライアンスに適正化できるよう、景表法のリスクを再度抑えておきたい。

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今年は苦しげ ボジョレーの販売文句

 ボジョレーヌーボーが明日20日(木)に解禁となる。
 
 フランス語で’Beaujolais nouveau’日本語に訳すと「新しいボジョレーワイン」という意味だが、日本ではバブル期の1980年代から定着したワインである。
 
 日本は世界で一番早くボジョレーヌーボーを味わえる国、という触れ込みの元、今では世界最大のボジョレーヌーボー消費国になった。
 
 販売する側にとっては、ボジョレーヌーボーは大きな収益の見込めるワイン。各販売業者が競って販売文句を考え、売り込みをかけ、その文句がテレビでもしばしば派手に紹介される。
 
 過去の販売文句で面白いものを例にあげると

  • 1)1996年「10年に一度の出来栄え」
  • 2)2002年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」
  • 3)2003年「110年ぶりの当たり年」
  • 4)2011年「100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え」

とにかく過去を超えたい、販売したい、という想いが全面に伝わる表現が多い。
 
 そして今年の文句で代表的なものは「エレガントで味わい深く、とてもバランスが良い」である。
 
 一周まわりまわって考える側も疲れている感は否めない。しかしこの主観に委ね、「濁った」表現はある意味正解かもしれない。
 
 なぜなら、ボジョレーヌーボーの販売文句にはいつも議論が投げかけられる。というのも販売文句中の評価方法に客観性や公平性がないのではないか?一部の業者の表現は「景品表示法」のコンプライアンス(法令遵守)問題を逸脱した表記になっているのではないか?と言われているからだ。

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侮る無かれ 景品表示法コンプライアンス

 先ほど記述した各年毎の販売文句のうち、1996年や2002年の「10年に一度」という触れ込みには目をつぶるとして、2003年や2011年の品質評価において「100年に一度」という触れ込みを行うためには、100年前のボジョレーヌーボーと現在のボジョレーヌーボーを比較し、公正に評価した裏付けが求められる。
 
 100年前のワインと今年のワインを比較することは現実的に不可能であり、また現地の「ボジョレーワイン委員会」は、2003年の評価を「並外れて素晴らしい年」、2011年「3年連続で、偉大な品質となった」と述べているに過ぎない。
 
 2013年11月に起きた楽天モール内での「不正二重表示」が大問題となったように、景品表示法は商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制し、表示の根拠が不明確なもについては、消費者庁が表示内容の改善が求められている。
 
 勧告に対して是正措置が行われない場合、事業代表者には2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、更に事業者自体にも3億円以下の罰金が科せられる。
 
 ボジョレーヌーボーの販売文句のうち客観性が担保されていない表現での販売会社は、景品表示法で訴えられるリスクを保有しているのだ。
 
 翻って、商品を消費者へ販売する企業の経営者及びマネージャー層の方には、ぜひ消費者庁が設置した「景品表示法」の特設ページ※1を、再度熟読することをお勧めしたい。

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おまけ:美味しいボジョレーを買う方法

 事実に基づき魅力的な表現で消費者の購買意欲を促進することと、事実を誇大視または歪曲(わいきょく)させてまで商品をよく魅せようとすることは、全く別次元の問題であり、後者は消費者からの訴え一つで企業価値を大きく失墜させる元凶となる。
 
 消費者にとっても、販売する側にとっても、気持ちのよい商売が成り立つことを心から望む。
 
 最後に本稿のおまけとして、美味しいボジョレーヌーボーを購入する方法をお伝えする。「本国で直接買い付けて評価している業者から購入する」「ボジョレーワイン委員会※2の評価に乖離せず客観的な表示を行う販売店から購入する」という2つの方法だ。
 
 明日は美味しいボジョレーヌーボーで乾杯といこう。
 
※1消費者庁「景品表示法」HP 
http://www.caa.go.jp/representation/
※2ボジョレーワイン委員会HP
http://www.beaujolais.com/

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